No.4103 相続時精算課税の選択|相続税
タックスアンサー(国税庁)
[平成27年4月1日現在法令等]
1 制度の概要
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の推定相続人である子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税(注)」へ変更することはできません。
また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。具体的な贈与税及び相続税の計算については「4 税額の計算」をご覧ください。
このように、相続時精算課税の制度は、贈与税・相続税を通じた課税が行われる制度です。
(注)「暦年課税」については、「4402 贈与税がかかる場合」をご覧ください。
2 適用対象者
贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父母、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち、贈与者の推定相続人である子又は孫とされています。
3 適用対象財産等
贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。
4 税額の計算
- (1) 贈与税額の計算
相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。
その贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。
なお、相続時精算課税を選択した受贈者が、相続時精算課税に係る贈与者以外の者から贈与を受けた財産については、その贈与財産の価額の合計額から暦年課税の基礎控除額110万円を控除し、贈与税の税率を適用し贈与税額を計算します。(注) 相続時精算課税に係る贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。
- (2) 相続税額の計算
相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。
その際、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。
なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額とされています。
5 適用手続
相続時精算課税を選択しようとする受贈者(子又は孫)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出することとされています。
相続時精算課税は、受贈者(子又は孫)が贈与者(父母又は祖父母)ごとに選択できますが、いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。
(関係法令等 相法21の2、21の5、21の9〜21の16、28、33の2、相令5、相規10、11、措法70の2の4、70の2の6)
参考: 関連コード
- 4102 相続税がかかる場合
- 4155 相続税の税率
- 4402 贈与税がかかる場合
- 4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
- 4503 相続時精算課税選択の特例
- 4301 相続時精算課税の選択と相続税の申告義務
- 4302 贈与者が年の中途に死亡した場合の相続時精算課税の選択
- 4304 相続時精算課税を選択する贈与税の申告書に添付する書類
- 4307 贈与者が贈与した年に死亡した場合の贈与税及び相続税の取扱い
- 4409 贈与税の計算(相続時精算課税の選択をした場合)
(参考)相続時精算課税のあらまし
- Q1 贈与者の推定相続人とは
- Q2 特定贈与者の推定相続人でなくなった場合の相続時精算課税
- Q3 期限を過ぎてから相続時精算課税を選択することの可否
- Q4 相続時精算課税を適用して申告した人が、現金の贈与を受けた場合
- 国税に関するご相談は、国税局電話相談センター等で行っていますので、税についての相談窓口をご覧になって、電話相談をご利用ください。
※ 下記の電話番号では、国税に関するご相談は受け付けておりません。 - No.4301 相続時精算課税の選択と相続税の申告義務
- No.4176 遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合の相続税と贈与税
- No.4152 相続税の計算
- No.4111 交通事故の損害賠償金
- No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予
- No.4167 障害者の税額控除
- No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
- No.4149 山林を相続した場合の納税猶予
- No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
- No.4208 相続財産が分割されていないときの申告
- No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
- No.4305 相続時精算課税を選択する贈与税の申告書に添付する書類(贈与を受けた年に受贈者が死亡した場合)
- No.4123 相続税等の課税対象になる年金受給権
- No.4141 相続財産を公益法人などに寄附したとき
- No.4138 相続人が外国に居住しているとき
- No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金
- No.4164 未成年者の税額控除
- No.4105 相続税がかかる財産
- No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い
- No.4304 相続時精算課税を選択する贈与税の申告書に添付する書類
出典
国税庁ホームページ http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103
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