所有権移転外ファイナンス・リース取引における帳簿要件について|消費税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
賃借人がリース会計基準に基づき、所有権移転外ファイナンス・リース取引におけるリース資産の現在価値と見積現金購入価額のいずれか低い金額で資産計上した場合において、リース資産の計上価額とリース料総額(対価の額)が異なることとなりますが、仕入れに係る消費税額の控除を適用するための帳簿要件は満たしているでしょうか。
【回答要旨】
仕入れに係る消費税額の控除の適用に当たって、帳簿の摘要欄等にリース料総額を記載している場合や、リース資産の計上価額からリース資産の譲受けの対価の額を算出するための資料を作成し、整理の上綴って保存している場合など、リース料総額(対価の額)が明らかとなる場合には、その仕入れの帳簿要件を満たしていると考えられます。
(理由等)
(1) リース会計基準に基づく会計処理
リース会計基準においては、所有権移転外ファイナンス・リース取引のリース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する場合の価額は以下のとおりとされています(リース適用指針第22項)。
借手において当該リース物件の貸手の購入価額等が明らかな場合は、リース料総額(残価保証がある場合は、残価保証額を含みます。)を現在価値の算定に用いる割引率で割り引いた現在価値と貸手の購入価額等とのいずれか低い額
貸手の購入価額等が明らかでない場合は、に掲げる現在価値と見積現金購入価額とのいずれか低い額
なお、リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合には、リース料総額から利息相当額の合理的な見積額を控除しない方法、利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法のいずれかの方法が認められています(リース適用指針第31項)。
(2) 消費税法上の規定
消費税法では、仕入れに係る消費税額の控除を適用する場合の帳簿に係る記載要件があります(消費税法第30条第8項)。消費税法上の取扱いにおいては、賃借人が賃貸人からリース資産の引渡しを受けた日に、当該資産の売買があったものとして、リース料総額をリース資産の譲受けの支払対価の額として仕入れに係る消費税額の控除をする必要があります。
(3) (1)の会計処理と(2)の規定との調整による消費税法上の取扱い
会計処理においては、リース会計基準に基づき処理することとなるため、会計帳簿には消費税における課税仕入れに係る支払対価の額(リース料総額)が記載されないことになります。
このため、帳簿の摘要欄等にリース料総額(対価の額)を記載するか、会計上のリース資産の計上価額から消費税における課税仕入れに係る支払対価の額を算出するための資料を作成し、整理の上綴って保存することなどにより、帳簿においてリース料総額(対価の額)を明らかにする必要があります。
【関係法令通達】
消費税法第30条第7項、第8項
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/18/10.htm
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