買換資産を居住の用に供した後に譲渡した場合の租税特別措置法第41条の5第4項の適用の可否|譲渡所得
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
平成○年に居住用財産の買換えを行い、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41の5)の適用を予定していた者が、買換資産を居住の用に供した後当該買換資産を平成(○+1)年中に譲渡し、住宅借入金の一部を繰上返済しました。平成(○+1)年12月31日において、住宅借入金の残高があることから、住宅借入金の残高証明書の交付を受けています。
この場合、平成(○+1)年12月31日において、住宅借入金の金額を有し、住宅借入金の残高証明書の発行を受けていることから、平成(○+1)年の所得税について租税特別措置法第41条の5第4項の規定を適用することができますか。
なお、その者の平成(○+1)年の合計所得金額は3,000万円以下です。
【回答要旨】
譲渡損失の金額が生じた年分の翌年以後の年分について、租税特別措置法第41条の5第4項の規定(以下「繰越控除の特例」といいます。)の適用を受けるためには、適用を受ける年の12月31日において「買換資産に係る住宅借入金等」の金額を有し(措法41の5)、確定申告書に「買換資産に係る住宅借入金等の残高証明書」を添付しなければならないとされています(措法41の5、措規18の25)。
この「買換資産に係る住宅借入金等」とは、買換資産の取得のための住宅借入金等をいい、繰越控除の特例の適用を受ける年の12月31日において買換資産を所有していないとしても、買換資産の取得に要する資金に充てるために借り入れた金額を有する場合は「買換資産に係る住宅借入金等」の金額を有することとなります。
また、繰越控除の特例の適用を受けるためには、買換資産をその取得の日の属する年の翌年12月31日までに居住の用に供さなければなりませんが、その後の居住継続は要件とされていません(措法41の5一、)。
したがって、買換資産を一旦居住の用に供した後、これを譲渡等し、買換資産の所有者でなくなった場合においても、繰越控除の特例の適用を受ける年の12月31日において、買換資産の取得に要する資金に充てるために借り入れた金額を有する場合、繰越控除の特例を適用することができます。
【関係法令通達】
租税特別措置法第41条の5
租税特別措置法施行規則第18条の25
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/18/20.htm
関連する質疑応答事例(譲渡所得)
- 地方公共団体施行に係る土地区画整理事業の保留地との交換
- 媒介契約を解除したことに伴い支払う費用償還金等と譲渡費用
- 居住用家屋が過去に店舗併用住宅として利用されていたものである場合における租税特別措置法第36条の2の居住期間要件の判定
- 買換資産の取得期間の延長
- 遺産分割後に認知を受けた者に遺産の一部を給付した場合の譲渡所得の課税
- 耕作権が三者契約により収用の対償に充てるために買い取られる場合
- 預託金制のゴルフ会員権が分割された場合の取得価額等
- 土地に係る収益補償金を建物の対価補償金へ振替えることの可否
- 租税特別措置法施行令第22条の8第5項に規定する「一団の土地」の判定
- 資産の譲渡に関連して追加的に受ける一時金
- 地区所有の土地の譲渡
- 租税特別措置法第37条の5第1項の表の第2号に規定する買換資産(床面積の判定)
- 事実上の耕作権の放棄の対価に係る収用特例の適用
- 収用等の特例が適用されない建物移転補償金の支払いを受け建物を取り壊した場合の所得区分
- 共有の居住用土地建物を譲渡した場合の居住用財産の買換えの特例
- 「宅地の造成」の意義(13号)
- 被相続人の事業用資産を相続した者が譲渡した場合の「事業用資産」の判定
- 収用対償地に充てる土地を不動産業者に買い取らせた場合
- 道路事業によりその隣接地の嵩上げ工事のために支払われた建物移転補償金
- 公有地の拡大の推進に関する法律の協議に基づく買取り(譲渡制限期間経過後の譲渡)
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。