譲渡損となる交換に係る所得税法第58条の適用の有無|譲渡所得
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
値下がりした土地(3年前に4億円で取得した土地が地価の下落により2億円となりました)を他の者の保有する土地と交換する場合に、所得税法第58条の適用を受けることができますか。
【回答要旨】
所得税法第58条の規定の適用を受ける余地はありません。
(理由)
1 所得税法第58条の規定の趣旨は、本来譲渡所得課税をすべきところ、一定の要件を具備する固定資産の交換については、その譲渡所得課税を将来に繰り延べるものであり、譲渡損失を繰り延べるためのものではありません。
2 所得税法第58条においては、「第33条の規定の適用については、……譲渡がなかったものとみなす。」と規定されているところ、所得税法第33条第3項は、「譲渡所得の金額は、……「譲渡益」……から譲渡所得の特別控除を控除した金額とする。」と規定し、譲渡所得(キャピタルゲイン)のあるものを前提に規定していることは明らかです。
〔参考〕
法人税法第50条においても、所得税法第58条と同旨の特例が規定されていますが、この規定は、交換取得資産の取得価額を譲渡益(差益金)の範囲内で圧縮することを認めるというものであり、条文上譲渡損失となる交換が適用される余地はありません。
【関係法令通達】
所得税法第58条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/10/11.htm
関連する質疑応答事例(譲渡所得)
- 未分割遺産を換価したことによる譲渡所得の申告とその後分割が確定したことによる更正の請求、修正申告等
- 後発的な事情により事業計画の変更があった場合
- 競売に係る譲渡資産の課税時期
- 農地を宅地に造成した後宅地と交換した場合
- 手持ち資金と譲渡代金とで保証債務を履行し、求償権の一部が回収不能となった場合
- 古都保存法第11条第1項の規定により土地等が買い取られる場合の租税特別措置法第34条の2,000万円控除の特例における「一の事業」の判定
- 耕作権を交換譲渡し農地を交換取得した場合
- 公有地の拡大の推進に関する法律第6条第1項の規定による土地の買取り
- 所得税法第58条と租税特別措置法第33条の4との適用関係
- 2棟の建築物を建築する場合の建築面積及び施行地区面積の判定(10号)
- 国外発行のディスカウント債を譲渡した場合
- 一の効用を有する一組の資産
- 特定の民間宅地造成事業に係る1,500万円控除と租税特別措置法第31条の2との適用関係
- 居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合
- 共有物の分割
- 特約の付された株券貸借取引に係る特約権料等の課税上の取扱い
- 被相続人の事業用資産を相続した者が譲渡した場合の「事業用資産」の判定
- 所有地の一部を譲渡しその譲受人と共同してマンションを建築する場合(15号)
- 漁業協同組合から漁業補償金とともに利息相当額の分配を受けた場合の課税
- 月極めの貸駐車場の用に供される土地を買換資産(租税特別措置法第37条第1項の表の第9号の下欄)とすることの可否
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。