請負の意義|印紙税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
印紙税が課税される請負契約の基本について、説明してください。
【回答要旨】
「請負」とは、当事者の一方(請負者)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを内容とする契約をいい、民法第632条《請負》に規定する「請負」のことをいいます。
この「請負」は、完成された仕事の結果を目的とする点に特質があり、仕事が完成されるならば、下請負に出してもよく、その仕事を完成させなければ、債務不履行責任を負うような契約です。
民法では、典型契約として請負契約を規定していますが、実際の取引においては各種変形したいわゆる「混合契約」といわれるものが多く、印紙税法上どの契約としてとらえるべきものであるか判定の困難なものが多く見受けられるところです。例えば、紳士服の仕立ての発注は請負であり、既製服の発注は売買としているところですが、それでは、イージーオーダーはどうなるか、寸法直しを伴う既製服の発注はどうなるかという問題です。
印紙税法では、通則2において、「一の文書で1若しくは2以上の号に掲げる事項とその他の事項が併記又は混合記載されているものは、それぞれの号に該当する文書」と規定されています。
このように一部の請負の事項が併記された契約書又は請負とその他の事項が混然一体として記載された契約書は、印紙税法上、請負契約に該当することになり、民法上、例えば、委任契約に近いといわれる混合契約であっても、印紙税法上は請負契約となるものも生ずることになります。
請負の目的物には、家屋の建築、道路の建設、橋りょうの架設、洋服の仕立て、船舶の建造、車両及び機械の製作、機械の修理のような有形なもののほか、シナリオの作成、音楽の演奏、舞台への出演、講演、機械の保守、建物の清掃のような無形のものも含まれます。
また、請負とは仕事の完成と報酬の支払とが対価関係にあることが必要ですから、仕事の完成の有無にかかわらず報酬が支払われるものは請負契約にはならないものが多く、また、報酬が全く支払われないようなものは請負には該当しません(おおむね委任に該当します。)。
なお、運送契約は契約の類型上、請負契約に含まれると考えられますが、一般の請負と明確に区別できることから、第1号の4文書(運送に関する契約書)として別に掲名されています。
(注) 印紙税では、紳士服等のイージーオーダーは、請負契約として取り扱っています。また、寸法直しを伴う既製服等の発注については、既製服部分は物品の譲渡契約、報酬のある寸法直し部分は請負契約として取り扱っています。
【関係法令通達】
印紙税法別表第一 課税物件表の適用に関する通則2
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/inshi/12/09.htm
関連する質疑応答事例(印紙税)
- クレジット販売の場合の領収書
- 有価証券の範囲
- 取引保証金提供契約書
- 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置
- 会社がその本業以外の行為に関連して作成する受取書
- 契約金額が明らかである請負契約書
- 依頼票(控)
- 受取金額5万円未満の非課税文書の判定方法
- エレベータ保守についての契約書
- 営業に関しない受取書(作成者)
- 請負契約書の変更契約書
- 車両賃貸借契約書
- 変更定款
- 権利金等の受領文言の記載のある建物賃貸借契約書
- 取付工事を行う機械の売買契約書
- 警備請負契約の契約内容を変更する覚書
- 「売買」に関する契約であることの要件
- 根抵当権設定契約書
- 貨物受取書
- 第19号文書の範囲
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。