宅地の評価単位−不合理分割(1)|財産の評価
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
次の図のように宅地のうちA部分は甲が、B部分は乙が相続した場合の宅地の評価単位は、それぞれどのようになりますか。
【回答要旨】
(1)については現実の利用状況を無視した分割であり、(2)は無道路地を、(3)は無道路地及び不整形地を、(4)は不整形地を、(5)は奥行短小な土地と無道路地を、(6)は接道義務を満たさないような間口が狭小な土地を創出する分割であり、分割時のみならず将来においても有効な土地利用が図られず通常の用途に供することができない、著しく不合理な分割と認められるため、全体を1画地の宅地としてその価額を評価した上で、個々の宅地を評価することとするのが相当です。
具体的には、原則としてA、B宅地全体を1画地の宅地として評価した価額に、各土地の価額の比を乗じた価額により評価します。
(理由)
贈与、遺産分割等による宅地の分割が親族間等で行われ、その分割が著しく不合理であると認められる場合における宅地の価額は、所有者単位で評価するのではなくその分割前の画地を「1画地の宅地」として評価します。
例えば、遺産分割により設例のように現実の利用状況を無視した不合理な分割が行われた場合において、仮に甲、乙それぞれが取得した部分ごとに宅地の評価を行うこととすると、無道路地としての補正や奥行が短小であることによる補正を行うことになるなど、実態に則した評価がなされないことになります。
そのため、著しく不合理な分割が行われた場合は、実態に則した評価が行えるよう、その分割前の画地を「1画地の宅地」として評価することとしています。「その分割が著しく不合理であると認められる場合」とは、無道路地、帯状地又は著しく狭あいな画地を創出するなど分割後の画地では現在及び将来においても有効な土地利用が図られないと認められる分割をした場合が考えられます。
なお、この取扱いは同族会社間等でこのような不合理分割が行われた場合にも適用されます。
【関係法令通達】
財産評価基本通達7-2
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hyoka/02/10.htm
関連する質疑応答事例(財産の評価)
- 都市計画道路予定地の区域内にある広大地の評価
- 種類株式の評価(その2)−上場会社が発行した普通株式に転換が予定されている非上場株式の評価
- 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(1)
- 市街地農地等の評価単位
- 山林の地積
- 造成中の宅地の評価
- 1株当たりの利益金額――固定資産の譲渡が数回ある場合
- 農業用施設用地の評価
- 宅地の評価単位−地目の異なる土地が一体として利用されている場合(1)
- 貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲
- 複数の地目の土地を一体利用している貸宅地等の評価
- がけ地等を有する宅地の評価――南東を向いている場合
- 判定の基礎となる「株式及び出資」の範囲
- 不整形地の奥行距離の求め方
- 外国の証券取引所に上場されている株式の評価
- 国外財産の評価――取得価額等を基に評価することについて課税上弊害がある場合
- 生産緑地の評価
- 宅地が2以上の地区にまたがる場合の画地調整
- 側方路線影響加算等の計算――特定路線価を設定した場合
- 風景地保護協定が締結されている土地の評価
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。