いわゆる「三角合併」における合併法人が保有する親法人株式に係る課税関係について|法人税
[いわゆる「三角合併」における合併法人が保有する親法人株式に係る課税関係について]に関する質疑応答事例。
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
A社の100%子会社であるB社(3月決算法人)と特に出資関係を有しないC社との間で、B社を合併法人とする合併契約を平成27年1月1日付で締結し、同年5月1日に合併(適格合併に該当するものです。)を行いました(A社、B社及びC社はいずれも株式会社です。)。
この合併は、C社の株主に交付する対価をB社株式ではなく、B社の親会社の株式であるA社株式(合併親法人株式)とするいわゆる「三角合併」によるものです。
B社は合併契約日においてA社株式(帳簿価額500百万円)を既に保有しており、合併に伴いこの全てをC社の株主に交付しましたが、合併契約日におけるA社株式の時価は550百万円でした。
この合併において、B社が保有していたA社株式に係るB社における課税関係はどのようになるでしょうか。
【回答要旨】
- 1 B社が有するA社株式の合併契約日におけるみなし譲渡(平成27年3月期)
B社は、この合併契約日を含む事業年度(平成27年3月期)の所得の金額の計算上、A社株式をその合併契約日の時価(550百万円)で譲渡し、同額で取得したものとみなされますので、B社におけるA社株式の帳簿価額(500百万円)と合併契約日の時価(550百万円)との差額50百万円を益金の額に算入することとなります。 - 2 B社が合併に伴い交付するA社株式の譲渡損益の取扱い(平成28年3月期)
この合併は適格合併に該当するということですので、この合併の日を含む事業年度(平成28年3月期)の所得の金額の計算上、この合併によりB社がC社の株主に交付したA社株式に係る譲渡損益は生じません。
(理由)
- 1 法人が、自己を合併法人とする合併の対価として親法人株式(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係とされる一定の関係がある法人に該当することが合併契約日において見込まれる法人の株式をいいます。)を交付しようとする場合において、その合併契約日にその親法人株式を保有するとき又は合併契約日後に一定の事由(注)により親法人株式の移転を受けたときは、その合併契約日又は移転を受けた日(以下「合併契約日等」といいます。)において、その親法人株式をその合併契約日等の価額で譲渡し、かつ、その価額で取得したものとみなすこととされています(法法61の2)。この規定は、合併法人が合併対価として交付する親法人株式で合併契約日等において保有するものについては、その合併契約日等に時価による譲渡をし、直ちにその価額で取得をしたものとして、それまでの含み損益を清算するためのものであり、その合併が適格合併に該当するか否かにかかわらず適用されます。
(注) この一定の事由とは、法人税法施行令第119条の11の2第2項各号に掲げる事由(これらの事由により合併親法人から親法人株式の移転を受ける場合等を除きます。)をいいます。 - 2 また、法人が、自己を合併法人とする合併の対価としてその有する有価証券を被合併法人の株主に交付する場合には、原則として、その合併の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、その有価証券に係る譲渡損益の額は益金の額又は損金の額に算入することとなりますが(法法61の2、法規27の3六)、法人が自己を合併法人とする適格合併により合併親法人株式(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係とされる一定の関係がある法人の株式をいいます。)を被合併法人の株主に交付した場合には、その譲渡に係る対価の額は、その適格合併の直前の帳簿価額に相当する金額とすることとされており(法法61の2)、対価の額と原価の額が同額となるため、譲渡損益は生じないこととなります。
- 3 ご照会のいわゆる「三角合併」において、B社は、合併契約日に保有していたA社株式の全てをこの合併によりC社の株主に交付していますので、同日を含む事業年度(平成27年3月期)の所得の金額の計算上、この合併契約日において帳簿価額500百万円のA社株式の全てを同日の時価550百万円で譲渡し、直ちに同額で取得したものとみなされることから、このみなし譲渡によって生じる50百万円の譲渡益を益金の額に算入することとなります(法法61の2)(参考図)。
- 4 なお、ご照会のいわゆる「三角合併」は、適格合併に該当するということですので、この合併によりB社がC社の株主に交付したA社株式の譲渡価額は、その適格合併の直前の帳簿価額に相当する金額(B社が上記3において取得したとみなされた550百万円)と同額となりますので、この合併の日を含む事業年度(平成28年3月期)の所得の金額の計算上、譲渡損益が生じることはありません(法法61の2)(参考図)。
【関係法令通達】
- 法人税法第61条の2第1項、第6項、第22項
- 法人税法施行令第119条の11の2第2項
- 法人税法施行規則第27条の3第6号
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/25.htm
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