特定役員引継ぎ要件(みなし役員)の判定|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
甲社は、資本関係のない乙社を合併法人とする吸収合併を行うことを検討しております。
資本関係のない法人間の合併に係る適格判定の要件の一つである特定役員引継ぎ要件についてですが、乙社(合併法人)においては、次のとおりD代表取締役等が合併後も引き続き合併法人の役員としてその職務に従事する見込みですが、甲社(被合併法人)においては、A代表取締役及びB取締役が合併に伴い退任し、C事業本部長のみが、合併法人である乙社の経営に従事することが見込まれます。
なお、C事業本部長は、甲社における会社法上の役員ではありませんが、その経営の中枢に参画しており、また、今後、合併法人(乙社)においても事業本部長として合併法人の経営の中枢に参画する見込みです。
この場合において、C事業本部長は特定役員に該当し、当該合併は特定役員の引継ぎ要件を満たすと考えてよろしいでしょうか。
<特定役員の引継状況>
【回答要旨】
C事業本部長は特定役員に該当しますので、当該合併は特定役員引継ぎ要件を満たします。
(理由)
資本関係のない法人間で行われる合併が適格合併に該当するかの判定要件の一つとして、事業規模要件又は特定役員引継ぎ要件を満たすこととされていますが、このうち特定役員引継ぎ要件とは、合併前の被合併法人の特定役員のいずれかと合併法人の特定役員のいずれかとが合併後に合併法人の特定役員となることが見込まれていることをいい(令4の3二)、この特定役員とは、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいいます(令4の3二カッコ書)。
ご照会の場合には、C事業本部長は会社法上の役員ではありませんが、被合併法人である甲社において法人の経営の中枢に参画しており、かつ、合併法人においても経営の中枢に参画することが見込まれていることからすれば、特定役員に該当することとなります。
また、当該合併においては、合併法人の特定役員(D代表取締役、E専務取締役、F常務取締役、G取締役及びH取締役)が合併後の合併法人においても特定役員となることが見込まれています。
【関係法令通達】
法人税法施行令第4条の3第4項第2号
法人税基本通達1−4−7
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/12.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- 特定調停の「経済的合理性」と法人税基本通達の「相当な理由」との関係
- 経費補償金等の仮勘定経理の特例
- 勤続年数の打切りに伴う退職給与の一部打切支給
- 医療保健業の範囲(休日・夜間診療)
- マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定
- 貸倒引当金の繰入対象となる個別評価金銭債権の範囲について(法人預金者の有する預金の該当性)
- 指定事業とその他の事業とに共通して使用される機械及び装置を取得した場合の震災特例法第17条の2の適用の可否
- 当期において累積欠損金を抱えることとなる子会社に対する支援
- 法人税基本通達9−6−1(4)に該当する貸倒損失(特定調停)
- 完全支配関係にある内国法人間の支援損について
- 社会保険診療に係る経費の額(寄附金の損金不算入額)
- 会計監査人設置会社において留保金課税制度の適用がある場合の留保金額の計算について
- 株式移転における特定役員継続要件の判定
- 地方公共団体に対して中古資産であるパソコンを寄附した場合(2)
- 工場周辺の住民のためにテレビの共聴アンテナを設置する費用
- アパートの壁紙の張替費用
- 共同事業要件の場合の株式継続保有要件について
- 交際費等の範囲(接待を受けるためのタクシー代)
- 収用等の場合の代替資産の範囲(先行取得資産)
- 税理士法人の社員に係る使用人兼務役員への該当性
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。