評価損を計上した上場株式の時価が翌期に回復した場合の遡及是正について|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
当社が長期保有目的で所有する上場株式の時価(株価)は大幅に下落しており、当事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る状況にあります。そこで、当社では当事業年度末時点において合理的な判断基準に基づいて株価の回復可能性を判断した上で、その株式の評価損を損金算入することとしました。
ところで、翌事業年度で株価が上昇した場合など翌事業年度以降に状況の変化があった場合には、当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要がありますか。
【回答要旨】
翌事業年度以降に株価の上昇などの状況の変化があったとしても、そのような事後的な事情は、当事業年度末の株価の回復可能性の判断に影響を及ぼすものではなく、当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要はありません。
(理由)
法人税基本通達9-1-7(注)2にもあるとおり、株価の回復可能性の判断は、あくまでも各事業年度末時点において合理的な判断基準に基づいて行うものです。
このため、例えば、当事業年度末においては将来的な回復が見込まれないと判断して評価損を計上した場合に、翌事業年度以降に状況の変化(株価の上昇など)があったとしても、そのような事後的な事情は当事業年度末時点における株価の回復可能性の判断に影響を及ぼすものではなく、当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要はありません。
【関係法令通達】
法人税法第33条第1項、第2項
法人税法施行令第68条第1項第2号イ
法人税基本通達9-1-7
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/30/03.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- ドア自動管理装置の耐用年数
- 定期給与の増額改定に伴う一括支給額(定期同額給与)
- 特定調停事案における支援者の範囲の相当性、支援割合の合理性
- 一般財団法人間の合併に対する適格判定における「事業関連性要件」の判定
- 他人の建物について行った内部造作の減価償却の方法
- 現物出資と金銭出資が同時に行われる場合の適格判定
- ゴルフ会員権が分割された場合の取扱い
- いわゆる「三角合併」における合併法人が保有する親法人株式に係る課税関係について
- 事業規模要件における「これらに準ずるもの」
- 仮決算中間申告における前期末の貸倒引当金等の益金算入の要否
- 地方博覧会における出展参加費用等
- 社会保険料の損金算入時期について
- 地方公共団体に対して中古資産であるパソコンを寄附した場合(1)
- いわゆる「三角合併」に係る適格要件について
- 医療保健業の範囲(予防接種)
- 民事再生法の法的整理に準じた私的整理とは
- 国際戦略総合特別区域において建物を取得しその一部を貸付けの用に供した場合の特別償却
- 交換と売買とが併せて行われた場合の取扱い
- 太陽光発電設備の連系工事負担金の取扱いについて
- 人工芝の耐用年数
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。