法人税法施行令第119条第1項第4号に規定する「他の株主等に損害を及ぼすおそれがある場合」について|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
A法人は、発行する2種類の株式(普通株式・優先株式)のうち、普通株式を保有する株主(普通株主)のみを対象に新株の無償交付を行うこととしましたが、これにより優先株式を保有する株主(優先株主)と普通株主との間で利益移転(株主間での不平等)が生ずるなど優先株主に損害を及ぼすおそれがある場合には、普通株主に受贈益課税が生ずるのでしょうか。
【回答要旨】
御照会のように、優先株主に損害を及ぼすおそれがある場合には、普通株主に対して受贈益課税が生ずることとなると考えられます。
(理由)
1 法人税法上、法人がその株主に対して新たな金銭の払込み又は金銭以外の資産の給付をさせないで当該法人の株式又は新株予約権を交付することを株式等無償交付といい、この株式等無償交付により取得した株式又は新株予約権の取得価額は、零(ゼロ)とされています(法令119三)。
ただし、株式等無償交付の場合で、他の株主等に損害を及ぼすおそれがある場合には、取得した有価証券の時価をもって取得価額を認識し(法令119四)、時価相当額について受贈益課税がされることとなります(法法22)。
2 この場合の「他の株主等に損害を及ぼすおそれがある場合」とは、例えば2以上の種類の株式を発行している場合で、1の種類の株式を対象に新株の無償交付が行われ、他の種類の株式について転換割合の調整条項がない場合などの理由により他の種類の株式の価値が低下する場合などがこれに該当すると考えられます。
なお、他の株主等に損害を及ぼすおそれがあるかどうかは、会社法第322条の決議があったかどうかにかかわらず、実態を見て判断することとなります。
【関係法令通達】
法人税法第22条第2項
法人税法施行令第119条第1項第3号、第4号
会社法第322条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/30/01.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- 恒久的施設を有する外国法人の未収利息に係る所得税額控除
- リボルビング方式の割賦販売に係る費用・収益の帰属時期
- 地方公共団体に対して中古資産であるパソコンを寄附した場合(1)
- 改正容器包装リサイクル法に基づき特定事業者が指定法人に支払う拠出委託料の取扱いについて
- 事業分量配当の対象となる剰余金
- 売買とされるPFI事業について(法人税の取扱い)
- 会計監査人設置会社において留保金課税制度の適用がある場合の留保金額の計算について
- 非課税となるオープン病院等
- 実費弁償方式の判定における退職給与積立預金等の取扱い
- 社会保険診療に係る経費の額(寄附金の損金不算入額)
- 短期前払費用の取扱いについて
- 生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用対象資産を2以上取得した場合の特別償却と税額控除の選択適用
- 企業再生税制の対象となる私的整理とそれ以外の私的整理における税務上の取扱いの違い
- 耐用年数の短縮承認を受けた資産に係る繰延資産の償却期間
- 恒久的施設を有しない外国法人が受領する銀行借入保証料
- 生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の対象設備であることについての証明書を取得するため工業会等に対して支払った発行手数料の取扱いについて
- ゴルフ会員権が金銭債権に転換する時期
- 棚卸資産たる土地を譲渡担保に提供した場合の取扱い
- 保証人がいる場合の貸倒れ
- 株式の保有関係が変更している場合の青色欠損金額の引継ぎ
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。