特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人の法人税法上の取扱い|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
現在、ボランティア活動を行っている団体(人格のない社団等)ですが、特定非営利活動促進法により設立される特定非営利活動法人(以下「NPO法人」といいます。)になることを検討しています。このNPO法人は、法人税法上、どのように取り扱われるのでしょうか。
(注) 「NPO」とは、Non-Profit Organization「民間非営利組織」の略。
【回答要旨】
1 特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人の取扱い
(1) NPO法人は、法人税法上の公益法人等とみなされ(特定非営利活動促進法第70条第1項)、収益事業を行う場合には法人税の申告を要します。
(2) NPO法人の法人税の適用税率は普通法人と同じです(特定非営利活動促進法第70条第1項、法人税法第66条)。
(3) NPO法人が、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額については、その収益事業に係る寄附金の額とみなされません(特定非営利活動促進法第70条第1項、法人税法第37条第5項)
(4) NPO法人は、小規模な法人(当該事業年度の収入金額の合計額が8,000万円以下の法人をいいます。)に該当するものを除き、当該事業年度の収支計算書の提出を要します(特定非営利活動促進法第70条第1項、租税特別措置法第68条の6、租税特別措置法施行令第39条の37)。
2 認定NPO法人に対する寄附金の損金算入等の特例
(1) 法人が、認定NPO法人又は仮認定NPO法人に対して支出した特定非営利活動に係る事業に関連する寄附金については、一般の寄附金の損金算入限度額とは別枠で、特定公益増進法人に対する寄附金と合わせて特定公益増進法人に対する寄附金の特別損金算入限度額を限度として損金の額に算入されます(租税特別措置法第66条の11の2第2項、法人税法第37条第4項、法人税法施行令第77条の2)。
(2) 認定NPO法人が、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額については、(通常のNPO法人及び仮認定NPO法人とは異なり)その収益事業に係る寄附金の額とみなされるとともに、寄附金の損金算入限度額は所得の金額の50%に相当する金額(当該金額が年200万円に満たない場合には、年200万円)とされます(租税特別措置法第66条の11の2第1項、租税特別措置法施行令第39条の23第1項、法人税法第37条第1項、第5項、法人税法施行令第73条、法人税法施行規則第22条の4第5号)。
(注)
- 1 認定NPO法人とは、NPO法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であること並びに公益の増進に資するものとして所轄庁(都道府県の知事又は指定都市の長)の認定を受けたものをいいます(特定非営利活動促進法第2条第3項、第44条第1項)。
- 2 仮認定NPO法人とは、NPO法人であって新たに設立されたもののうち、その運営組織及び事業基盤が適正であって特定非営利活動の健全な発展の基盤を有し公益の増進に資すると見込まれるものとして所轄庁(都道府県の知事又は指定都市の長)の仮認定を受けたものをいいます(特定非営利活動促進法第2条第4項、第58条第1項)。
【関係法令通達】
特定非営利活動促進法第2条第3項、第4項、第44条、第58条、第70条
法人税法第37条、第66条
法人税法施行令第73条、第77条の2
法人税法施行規則第22条の4
租税特別措置法第66条の11の2、第68条の6
租税特別措置法施行令第39条の23、第39条の37
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/21/14.htm
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