臨海工業地帯の赤松枯損被害に関する企業負担金|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
A県B臨海地区の住民から、同地区の赤松に枯損、衰退等の被害が目立ち、臨海工業地帯における大気汚染がその原因であるとして県に対して補償要求が出されました。これに基づいて県が調査委員会を発足させ、約5年間にわたり調査した結果、赤松の衰退は大気汚染が主たる原因と目されましたが、枯損に至ったものは他の原因が複合していることも考えられるため、大気汚染のみが原因であると断定することはできないとの結論に達しました。
この調査結果に基づいて住民と県及び進出企業との間で協議を重ねた末、今回、企業側から住民の組織する「B臨海地域森林育成会」に○○万円を支払うことで妥結しました。企業側はこの○○万円を大気汚染負荷量(SO2の排出量)の比で負担しますが、支出時の損金として認められますか。
なお、「B臨海地域森林育成会」では、この○○万円を住民に分配しないで、これを原資として同地区における植樹、撫育等の緑化活動を行う予定です。
(注) 被害樹は約30万本、関係住民は○○人で、その1人当たりの金額は3万円です。
【回答要旨】
支出企業にとって、当該負担金は一種の損害賠償金に類する支出金と認められますので、支出時の損金として処理して差し支えありません。
なお、当該金額は、いったん住民が分配を受けた上で、改めて「B臨海地域森林育成会」に出捐したともみられますが、その場合であっても、住民の個人課税については所得税法施行令第30条第3号((非課税とされる保険金、損害賠償金等))に規定する相当の見舞金として非課税とすることが相当と考えられます。
【関係法令通達】
法人税法第22条第3項
所得税法施行令第30条第3号
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/19/02.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- スタンプ販売業に係る収益事業判定
- いわゆる「クロスボーダーの三角合併」により外国親法人株式の交付を受ける場合の課税関係
- 完全支配関係のある法人間でリース取引を行った場合の譲渡損益の計上について
- 経営権の譲渡に伴う債権放棄による経済的利益の供与
- 支援者にとって損失負担等を行う相当な理由
- 耐用年数の短縮承認を受けた資産に係る繰延資産の償却期間
- ドア自動管理装置の耐用年数
- 株価が50%相当額を下回る場合における株価の回復可能性の判断基準について
- 単独新設分割における「同一の者による完全支配関係」の判定について
- 生産性向上設備等を段階的に事業の用に供した場合の生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用について
- 大口の債権者(親会社)だけでなく一般の(小口)債権者も債権放棄する場合
- 期中に取得した資産に係る平均超過使用時間の計算
- 適格合併により移転を受けた減価償却資産に係る耐用年数
- 太陽光発電設備の系統連系に当たり支出するアクセス検討料について
- 過大役員給与の判定基準
- 賦課金の運用による付随収入の仮受経理
- いわゆる「三角合併」に係る適格要件について
- いわゆる「三角合併」において端数調整金が支払われる場合の適格判定等について
- 債務者は「子会社等」に該当するか(特定調停)
- 生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用対象資産を2以上取得した場合の特別償却と税額控除の選択適用
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。