組織変更に伴い株式以外の資産の交付を受けた場合|源泉所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
私は合名会社A社の社員として出資10口(取得価額100万円)を保有しています。今般、A社は株式会社に組織変更し、出資1口につき組織変更後の株式会社の株式10株と現金1万円を交付することとしましたが、この場合の課税関係はどのようになりますか。
なお、合名会社A社の出資1口当たりの資本金等の額は10万円で、交付される株式会社の株式の時価は1株当たり2万円と見込まれます。
【回答要旨】
交付される株式会社の株式100株の取得価額はその時価200万円とされ、110万円のみなし配当が生ずることとなります。
法人の組織変更により、その組織変更法人の株式(出資を含みます。以下同じ。)のみが交付される場合には、旧株の取得価額が新株に引き継がれ(所得税法施行令第115条)、特段の課税関係は生じません。
これに対して、株式以外の資産の交付を受けた場合には、その株式の取得価額は、その取得時における時価とされます(所得税法施行令第109条第1項第5号)。また、交付を受けた資産の合計額のうち、その交付の基因となった株式に対応する資本金等の額を超える部分の金額はみなし配当課税の対象となり(所得税法第25条第1項第6号)、更に、みなし配当以外の部分の金額は株式等の譲渡所得等に係る収入金額とみなされます(租税特別措置法第37条の10第3項第6号)。
照会の場合には、交付を受けた株式及び株式以外の資産の合計額210万円(2万円×10株×10口+1万円×10口)のうち、交付の基因となった出資に対応する資本金等の額100万円(10万円×10口)を超える部分110万円はみなし配当課税の対象となり、残余の100万円は株式等の譲渡所得等の収入金額とみなされます(ただし、照会の場合の譲渡損益は0円(100万円-100万円)となります)。
【関係法令通達】
所得税法第25条第1項第6号、所得税法施行令第109条第1項第5号、第115条、租税特別措置法第37条の10第3項第6号
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/07/04.htm
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