非居住者に支払う職務発明の対価|源泉所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
A社では、使用人の職務発明について特許を受ける権利を承継し、特許法第35条の規定に基づく相当の対価として、その権利の実施後の成績に応じて補償金を支払っています。この補償金を非居住者に支払う場合には、所得税法第161条第7号イの工業所有権等の「使用料」又は「譲渡による対価」のいずれにも該当せず、源泉徴収の対象にならないと考えてよろしいですか。
【回答要旨】
非居住者が「相当の対価」として支払を受ける補償金は、所得税法第161条第7号イの工業所有権等の「譲渡による対価」に該当し、源泉徴収の対象となります。
職務発明に係る特許を受ける権利を使用者に承継させた場合、使用人はその代償として相当の対価の支払を受ける権利(対価請求権)を有することとなります。この場合の相当の対価については、権利承継時に具体的な金額を算定することは極めて困難であることから、実績に応じて支払われる場合がありますが、そのような場合であっても、特許を受ける権利の承継の代償として与えられた「対価請求権」に基づくものであることに変わりはありません。
したがって、非居住者である使用人が特許法第35条に規定する「相当の対価」として支払を受けるものは、権利の承継の対価、すなわち所得税法第161条第7号イの工業所有権等の「譲渡による対価」として源泉徴収の対象となります。
【関係法令通達】
所得税法第161条第7号イ、第212条第1項、特許法第35条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/06/57.htm
関連する質疑応答事例(源泉所得税)
- 金融機関の貸出債権に係るローン・パーティシペーションの取扱い
- 会社設立発起人が受ける報酬の所得区分
- ストックオプションに係る国内源泉所得の範囲
- 国外で採用した非居住者に国外で支払う契約金
- ドイツの法人に支払う技術導入に係るオプションフィー(選択権料)
- 2以上の使用者から支払を受ける役員の出勤費用
- 非居住者の間に退職した者が帰国後に退職給与規程の改訂により支払を受ける改訂差額
- 専修学校等の就学生に対する免税条項の適用の是非
- 健康保険料の事業主負担(2分の1以上の負担)による経済的利益
- 日米租税条約第20条に規定する交換教授免税における「一時的に滞在する個人」の範囲
- 変額個人年金保険の据置期間中に定期的に支払われる引出金に対する源泉徴収の要否
- 創業50周年を記念して従業員に支給した商品券
- 退職所得の受給に関する申告書に支払済の退職手当を記載しないで提出した場合の是正方法
- 政府の所有する金融機関の意義
- 役員退職金制度の廃止に伴い親会社から発行される新株予約権の課税関係
- 米国法人に支払うコンテナーの使用料
- 海外の特定危険地域在住の従業員を被保険者とする損害保険契約の掛金を会社が負担する場合の経済的利益
- 配偶者控除と寡夫控除の双方適用
- 単身赴任者等に支給するいわゆる着後滞在費
- 新聞に掲載することを目的とする座談会の報酬
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。