不正競争防止法に基づく損害賠償金を支払った場合|源泉所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
内国法人A社は、ドイツ法人B社の商標を付したサングラス及び眼鏡フレームを販売していたところ、ドイツ法人B社から、不正競争防止法に基づく損害賠償を請求されました。その後両社は和解し、A社は和解金としてB社に4,000万円を支払いました。
この和解金については、源泉徴収の対象となりますか。
(注) B社の商標は、我が国においては商標登録されていませんが、周知商標(商標法第4条第1項第10号)に該当します。
【回答要旨】
和解金については、原則として所得税法第161条第7号イに規定する使用料に該当し、源泉徴収を要します。
商標法によって登録されていない商標であっても、周知性の高いものや著名なものについては、不正競争防止法により保護され、不正使用については損害賠償請求を認めています(不正競争防止法第2条第1項第1号、第2号、第4条)。
したがって、不正競争防止法に基づき請求する損害賠償金は商標の使用料に代わる性質を有しており、また、その請求に係る和解金の明細が明らかでない以上、その全額が所得税法第161条第7号イに規定する工業所有権又はこれに準ずるものの使用料として取り扱われます(所得税基本通達161-23)。
また、日独租税協定の適用に当たっては、我が国において未登録のため商標権が発生していないものであっても、法令によって保護されている周知商標の使用料については、同協定第12条《使用料条項》が適用されるものと解されます。
なお、和解金算出の明細が明らかな場合には、使用料以外の部分として合理的と判断される金額については、使用料とされる金額から除外されることとなります。
【関係法令通達】
所得税法第161条第7号イ、所得税基本通達161-23、日独租税協定第12条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/06/05.htm
関連する質疑応答事例(源泉所得税)
- 米国法人に支払うコンテナーの使用料
- 金銭の払込みに代えて報酬債権をもって相殺するストックオプションの税制適格の要否
- 労働組合の執行委員が休日に組合行事等に従事した場合の日当
- 被相続人が最高限度額方式で通帳式の定期預金を預入していたときにおいて、その残高の一部のみを引き続き非課税とする場合の手続
- 会社設立発起人が受ける報酬の所得区分
- 輸入取立手形のユーザンス金利
- 学生のアルバイト代
- 外国に居住する公務員の妻に支払う家賃
- 時間外勤務が深夜に及ぶ場合のホテル代
- 契約改訂により2年を超えることとなった場合の交換教授免税(日米租税条約)
- カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合
- 米国法人に支払う延払債権に係る利子
- 株主代表訴訟に係る弁護士費用等の負担
- 給与等の支払を受ける者が常時10人未満であるかどうかの判定
- 役員に貸与したマンションの管理費
- 自由に選択できる永年勤続者表彰記念品
- 校閲の報酬
- みなし配当に係る日加租税条約の親子間配当の軽減税率の適用要件
- 海外の特定危険地域在住の従業員を被保険者とする損害保険契約の掛金を会社が負担する場合の経済的利益
- 破産管財人報酬
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。