使用料条項の適用対象となる受益者|源泉所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
内国法人A社は、ハンガリー法人B社(映画フィルムの製作者ではありません。)を介して映画を購入し国内の映画館等に配給する権利を得ています。
ところで、日本・ハンガリー租税条約第12条第2項(b)は、文化的使用料について、その使用料の受領者が受益者である場合には、所得源泉地の課税を免除することとしていますが、この受益者の範囲に代理人や著作権の管理法人も含まれると解して、源泉徴収は不要と考えてよいでしょうか。
【回答要旨】
代理人や著作権の管理法人は受益者には含まれず、源泉徴収が必要です。
A社が映画フィルムの製作者(原著作権者)でないB社から映画フィルムを購入し、日本国内で上映するために映画フィルムの対価を支払った場合、B社が日本・ハンガリー租税条約第12条第2項(b)に規定されている文化的使用料の受益者(映画フィルム等の著作権に係る受益者)に該当することとなるためには、B社が、複製権、上映権、頒布権又は公衆送信権のいずれかの権利につき、それぞれ全部又は一部を原著作権者から譲渡又は使用許諾を受けている場合(原著作権者から上記の権利の譲渡又は使用許諾を受けた者から、B社が更に譲渡又は使用許諾を受ける場合を含みます。)に限られます。
したがって、B社が、受益者の代理人や、受益者と日本法人との間の仲介者であったり、単に受益者の所有する著作権の管理法人である場合等には、条約上の受益者とはなり得ません。
なお、映画の著作権には、上記の権利の他にも翻訳権(字幕スーパーの挿入や日本語への吹き替え等)があり、このような権利に関する対価の支払も別途行われるのであれば、これに関する受益者もその使用料の受益者に含まれることとなります。
(注)
1 受益者から「租税条約に関する届出書」の提出があれば、その受益者の居住地国との間の租税条約を適用することとなります。
※ 租税条約の規定に基づき源泉徴収税額の免除を受けるための手続
2 日・ハンガリー租税条約第12条と同様の規定は、ロシア連邦(旧ソ連)、ポーランド等との間の租税条約にもあります。
【関係法令通達】
日・ハンガリー租税条約第12条第2項(b)
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/06/04.htm
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