金銭の払込みに代えて報酬債権をもって相殺するストックオプションの税制適格の要否|源泉所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
当社では、取締役に対する役務提供の対価として、新株予約権に係る金銭の払込みに代えて、報酬債権をもって相殺する方法により新株予約権を発行する予定です。
ところで、金銭の払込みに代えて報酬債権と相殺することとされている新株予約権の発行は、会社法上、有償発行の一形態と整理されているようですが、このような発行形態によるものは税制適格ストックオプションの対象とならないのでしょうか。
なお、この新株予約権の付与契約には、租税特別措置法第29条の2第1項各号に掲げる要件を定めることとしています。
【回答要旨】
報酬債権との相殺により発行する新株予約権であっても、一定の要件を満たす場合には、税制適格ストックオプションの対象となります。
会社法の規定に基づき発行される新株予約権で税制適格ストックオプションの対象となるものは、「金銭の払込み(金銭以外の資産の給付を含む。)をさせないで発行された新株予約権」に限られています(租税特別措置法施行令第19条の3第1項)。
新株予約権の発行形態には、無償発行(金銭の払込みを要しないもの)と有償発行があり、有償発行は、金銭の払込みが行われるもの、金銭の払込みに代えて金銭以外の財産を給付するものと会社に対する債権をもって相殺するものに区分されます(会社法第238条、第246条)。
照会の新株予約権のように債権と相殺することとされているものは、金銭の払込みをさせるもの又は金銭以外の財産を給付させるものには当たりませんので、無償発行の場合と同様に、その付与契約に一定の要件を定めるなど税制適格要件を満たす場合には、税制適格ストックオプションの対象となります。
【関係法令通達】
租税特別措置法第29条の2、租税特別措置法施行令第19条の3第1項、会社法第238条、第246条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/39.htm
関連する質疑応答事例(源泉所得税)
- 非居住者に支払う職務発明の対価
- 販売員に対し引抜き防止のために支給した慰留金
- 住宅の値引販売による経済的利益
- 過去に遡及して残業手当を支払った場合
- 郵政民営化法の施行日前に預入をしていた郵便貯金に係るマル優の適用
- 公共法人等が利子計算期間の中途で外国法人から国外公社債を取得した場合の利子の課税関係
- 専修学校等の就学生に対する免税条項の適用の是非
- 給与の計算期間の中途で非居住者となった者に支給する超過勤務手当(基本給との計算期間が異なる場合)
- 国外で留守家族に支払われる給与
- 契約改訂により2年を超えることとなった場合の交換教授免税(日米租税条約)
- インド輸出入銀行によって保証された借入金の利子
- カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合
- 法人でない労働組合が支払を受ける利子の課税関係
- ゴルフ大会の協賛者が提供するプロゴルファーの賞金
- 非居住者であった期間内の社会保険料、生命保険料
- 国外で採用した非居住者に国外で支払う契約金
- 株主代表訴訟に係る弁護士費用等の負担
- 講習会の出席費用の負担
- 海外における情報提供料
- 緊急業務のために出社する従業員に支給するタクシー代等
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。