請求人が同族会社に支払った月額賃料と原処分庁が算定した類似建物月額賃料との差額が1.4倍ときん少であっても、所得税の負担を不当に減少させる結果となっているとして所得税法第157条の規定の適用をした課税処分は正当であるとした事例
[所得税法][同族会社の行為又は計算の否認]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1998/04/24 [所得税法][同族会社の行為又は計算の否認] 請求人は、仮に類似建物月額賃料を一応の基準としても、本件月額賃料は類似建物月額賃料の1.4倍程度のものであり、類似建物月額賃料との比率の開差は極めて合理的な偏差の範囲にあり、著しく過大なものではないから、本件賃料の決定行為に不当なものはない旨主張する。
しかしながら、所得税の負担を不当に減少させる結果となったか否かについては、単に基準となるべき適正な賃料との比率の開差の大小のみによって一律に判断すべきものではなく、その基準となるべき適正な賃料に基づいて算出した納付すべき税額と請求人が決定した賃料に基づいて算出した納付すべき税額とを比較し、その税額のかい離がどの程度であるかを考慮した上で判断すべきものと解するのが相当である。
請求人の場合、本件病院用建物に係る本件月額賃料の決定は、同族会社とその関係人である請求人であるがゆえになしえた行為又は計算であることが認められ、請求人のこのような行為は、純経済人の行為として不自然・不合理な行為又は計算によるものであり、その結果本件月額賃料が不当に高額なものとなっており、請求人の所得税の負担を不当に減少させているものと認められる。
平成10年4月24日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が同族会社に支払った月額賃料と原処分庁が算定した類似建物月額賃料との差額が1.4倍ときん少であっても、所得税の負担を不当に減少させる結果となっているとして所得税法第157条の規定の適用をした課税処分は正当であるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>同族会社の行為又は計算の否認)
- 建物を同族会社に賃貸して、同族会社が又貸しによって得た収入に比し極めて低額又は零円の賃貸収入を得ている場合において、所得税法第157条を適用して行為・計算を否認してされた更正は、適法であるとした事例
- 同族会社への不動産賃貸料につき、無利息の保証金に係る経済的利益を加算すると、必ずしも低額でないから、所得税法第157条の適用はないとの請求人の主張が排斥された事例
- 請求人の同族会社からの建物賃貸料収入が当該同族会社の又貸し賃貸料収入に比して余りに低額であるとしてなされた所得税法第157条による更正処分が適法であるとされた事例
- 同族会社に支払った医療機器等の賃借料の額が過大であるとして、所得税法第157条を適用した更正処分は適法であるとした事例
- 請求人が同族会社に支払った月額賃料と原処分庁が算定した類似建物月額賃料との差額が1.4倍ときん少であっても、所得税の負担を不当に減少させる結果となっているとして所得税法第157条の規定の適用をした課税処分は正当であるとした事例
- 個人で病院を営む請求人が同族会社に支払った管理委託料は、当該同族会社と類似同業者の収受する管理委託料に比準して算定した適正管理料に比して不当に高額であるとして所得税法第157条の規定を適用した原処分は相当であるとした事例
- 請求人が同族会社に賃貸した土地の賃料の額を容認した場合には、請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果になるとした事例
- 請求人らが同族会社から受け取る土地建物管理運営契約に基づく賃貸料につき、所得税法第157条を適用した更正処分は適法であり、同条の適用に当たっては請求人らの役員報酬を考慮する必要はないとした事例
- 審査請求人が営む不動産貸付けについて、同族会社1社への専属的な貸付けであり、本件貸付けの維持管理業務の程度が実質的には相当低いなどとして、不動産所得を生ずべき事業には当たらないとした事例
- 青色申告書に係る更正の理由附記に不備はなく、また、医療機器の支払リース料について、所得税法第157条“同族会社等の行為又は計算の否認”を適用して更正処分をしたことは相当とした事例
- 過大な不動産管理料につき所得税法第157条を適用して否認した更正は適法であるとした事例
- 請求人が同族会社から受領した土地の賃料が著しく低額であるとして、所得税法第157条を適用した更正処分は適法であるとした事例
- 請求人所有の本件土地上に赤字法人である同族会社に対して地上権を無償で設定した後に本件土地と地上権を第三者に譲渡した行為は、所得税法第157条に該当するとした事例
- 過大な不動産管理料につき、所得税法第157条を適用して否認した更正は適法であるとした事例
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。