扶養控除に関する事項を記載した損失申告書を提出したことによって扶養親族の所属を選択したものとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2008/10/29 [所得税法][所得控除] 請求人は、所得税法第84条の規定は、所得を有する居住者を対象とする規定であり、請求人の夫については、本件各年分において所得を有していなかったから、同条の適用はなく、同条の適用を前提とする所得税法施行令第219条を適用する余地もなく、同人が提出した本件各年分の確定申告書の所得控除の記載は何らの記載もされていないとみるべきであり、少なくとも、平成15年分及び平成16年分について、請求人の夫は請求人の控除対象配偶者であって、請求人に養われているものが子らを扶養していると解することはできないから、請求人の夫の平成15年分及び平成16年分の所得税の申告については、所得税法第84条の規定の適用はないなどとして、本件各確定申告書の提出により、請求人が子らを扶養親族とすることを選択したことになる旨主張する。
しかしながら、所得税法第84条第1項は、「居住者が扶養親族を有する場合には」扶養控除の適用を受けることができる旨規定しており、居住者の所得金額の多寡や一方が他方の控除対象配偶者であるか否かによって同条の適用を受けることができなくなるものでないことは文理上明らかである。確かに所得控除前の所得金額の合計額が零円であれば、扶養控除の適用を受ける必要は直ちには生じないものであるが、その後に増額更正や修正申告により所得金額が増加し、それによって扶養控除の適用を受けることもあり得るのであり、そのような場合に備えて、あらかじめ扶養親族の所属を確定させることには意味があるから、所得税法第123条に規定する確定申告書において、その第二表の「所得から差し引かれる金額に関する事項」の「配偶者(特別)控除・扶養控除」欄に子らの氏名、続柄、生年月日及び控除額を記載したことが無意味であるとして何らの記載がないものとみることはできない。
平成20年10月29日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 扶養控除に関する事項を記載した損失申告書を提出したことによって扶養親族の所属を選択したものとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>所得控除)
- 生計を一にする親族について、請求人と請求人の夫がいずれもその扶養親族として申告している場合には、所得税法施行令第219条第1号に規定するところにより、いずれの扶養親族に該当するかを判断すべきであるとした事例
- 扶養控除に関する事項を記載した損失申告書を提出したことによって扶養親族の所属を選択したものとした事例
- 請求人が代表取締役である法人の従業員が、請求人の定期預金の一部を払い戻し、費消したことは横領に当たらず、その損害は雑損控除の対象となる損失に該当しないとした事例
- 居宅サービス計画に医療系サービスが伴わない場合の居宅サービスの対価は医療費控除の対象とはならないとした事例
- 被相続人が宗教法人の敷地に接する市道の改修工事に係る費用を負担したことは、宗教法人に対する寄付に当たり、市に対する寄付に当たらないとして寄付金控除の適用を認めなかった事例
- 共有建物を分割した場合の取壊しによる損害は雑損控除の対象となる災害による損失に該当しないとした事例
- 不動産売買仲介者に現金等を不法に領得されたことによる損失は詐欺による損失であるとして、雑損控除の対象とはならないとした事例
- 介護保険法に基づく居宅サービスに医療系サービスが伴わない場合、その居宅サービスの対価は医療費控除の対象とはならないとした事例
- 糖尿病患者の自宅における食事療法のための食事代は医療費控除の対象にならないとした事例
- 会社員である請求人所有の自動車は雑損控除の対象となる「生活に通常必要な動産」には当たらないとした事例
- 山林の譲渡代金は横領されたものではないから所得税法第72条の雑損控除の対象にはならないとした事例
- 請求人の有する所得税法第2条第1項第29号に規定する特別障害者である扶養親族は、当該請求人と「同居を常況としている者」に当たらないので、租税特別措置法第41条の16第1項に規定する同居の特別障害者に係る扶養控除の特例の適用は認められないとした事例
- アスベストの除去費用は、人為による異常な災害とみることはできないとした事例
- 請求人が、支給された賞与から支払った寄付金である旨主張する金額は、勤務先法人がその関連法人に寄付すべき金額を請求人の賞与に上乗せしたものであり、請求人の寄付金控除は認められないとした事例
- オートバイ(400c.c.)の盗難になる損失控除の対象にならないとした事例
- いわゆる振り込め詐欺の被害に遭い、だまし取られた金額分の損失は、雑損控除の対象となる災害又は盗難若しくは横領による損失には当たらないとした事例
- 身体障害者更生施設への入所に係る利用者の費用負担として支払った利用者負担金は医療費控除の対象とはならないとした事例
- 自然医食品等は薬事法に規定する医薬品に該当しないから、医師の処方により購入しても、その購入費は医療費控除の対象にならないとした事例
- 特別養護老人ホームの措置費の一部負担金は医療費控除の対象となる医療費に該当しないとした事例
- 請求人が被った紳士録の掲載料や登録抹消料として支出した金員に係る損失は、詐欺ないし恐喝により生じたものであるから雑損控除の対象とはならないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。