保証債務の履行に係る求償権の放棄について、主たる債務者の債務超過に基づくものとは認められないとした事例
[所得税法][所得計算の特例][保証債務の履行][求償権の行使不能]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1980/06/30 [所得税法][所得計算の特例][保証債務の履行][求償権の行使不能]裁決事例集 No.20 - 136頁
保証債務の履行に係る求償権の放棄について、主たる債務者は、[1]設立以来、現在まで事業を継続していること、[2]ここ数事業年度の決算では毎期純利益を計上し、繰越欠損金は減少しており、また、不良債権であるという売掛金も回収不能であると認めるに足る証拠はないこと、[3]請求人以外の者からの借入金は、返済、借入れを繰り返しながら全体に減少し、請求人が求償権を放棄した事業年度においても借入金を返済していること、[4]求償権を放棄した翌事業年度には、請求人に対し新たな貸付けを行っていること等を総合勘案すると、請求人の主たる債務者に対する求償権の放棄について、その行使ができないために行ったものと認めることは相当でない。
昭和55年6月30日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 保証債務の履行に係る求償権の放棄について、主たる債務者の債務超過に基づくものとは認められないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>所得計算の特例>保証債務の履行>求償権の行使不能)
- 妻の借入金の保証債務について所得税法第64条第2項の適用はなく、また所得税法第9条第1項第10号にも当たらないとした事例
- 被相続人の税理士業務は、同人の死亡により所得税法第63条に規定する事業の「廃止」があったとした事例
- 求償権の放棄が、主たる債務者の資産状況、経営状況からみて求償権を行使することができない状況でなされたものとは認められないので、所得税法第64条第2項の適用がないとした事例
- 保証債務の履行に関連して支出した訴訟費用等は保証債務の履行に伴う求償権の範囲に含まれないとした事例
- 事業は廃止されたものとは認められないから所得税法第63条の必要経費の特例の規定は適用できないとした事例
- 保証債務の履行に伴う他の連帯保証人に対する求償権については、当該他の連帯保証人は債務超過の状態にあり、求償権の行使は不可能であると認定して、所得税法第64条第2項の適用を認容した事例
- 所得税法第62条第2項の規定(保証債務)の適用に当たっては、確定申告書等にその適用を受ける旨の記載が必要とされているところ、その記載がないことを理由に棄却した事例
- 主たる債務者はいまだ求償権を行使しても回収の見込みのないことが確実な状況にまで立ち至ったとは認められないので保証債務の履行に伴い求償権が行使できない場合に該当しないとした事例
- 長男の債務の弁済を繰り返し行い、かつ、その求償権を放棄することは所得税法第64条第2項に当たらないとした事例
- 保証債務の履行に伴う求償権放棄の取消通知が、消滅時効の援用により求償権の行使不能となったとしても、所得税法第152条に規定する更正請求ができないとした事例
- 求償権の行使が不能であるから不動産の譲渡につき所得税法第64条第2項の規定が適用されるべきであるとの主張を排斥した事例
- 物上保証人と連帯保証人とを兼ねる者が債務者のために自己の出えんをもって債務を弁済した場合には、当該弁済がいずれの地位に基づくものであるかにかかわらず、他の連帯保証人に対して求償権を取得するものであり、請求人が弁済した債務額のうち、当該他の保証人に対する求償権の行使可能額に対応する部分の金額については所得税法第64条第2項の規定の適用はないとした事例
- 保証債務の履行により他の連帯保証人に対し取得した求償権の行使が不能であると認めた事例
- 借入金で保証債務を履行した場合における借入金の利子は履行に伴う求償権の額には含まれないとした事例
- 山林の伐採譲渡について、所得税法第64条第2項の所得計算の特例の適用は認められないとした事例
- 保証債務の求償権を行使できない額の計算は譲渡代金のあん分によるべきであるとした事例
- 保証債務の履行に係る求償権の放棄について、主たる債務者の債務超過に基づくものとは認められないとした事例
- 請求人らの代理人が譲渡代金の全額を買主から受領した後、代理人から当該代金を回収できないとしても、保証債務の特例は適用できないとして請求人の主張を排斥した事例
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。