自己の名義による他人のための借入金債務について、所得税法第64条第2項の規定の適用上同項に規定する保証債務と同視し得るものとした事例
[所得税法][所得計算の特例][保証債務の履行]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1980/06/24 [所得税法][所得計算の特例][保証債務の履行]裁決事例集 No.20 - 128頁
請求人が、自己所有の土地を譲渡して得た代金により、B農協から自己名義で借り入れた債務を弁済した場合において、同債務の借入れについて、[1]請求人は、農業協同組合法の規定により農業協同組合が組合員以外のものに融資することはできないこととされているため、A法人の設備資金等に充てるための融資を受けるに当たり、自己がB農協の組合員であることから自己名義で借り入れるに至ったこと、[2]請求人は、当該借入金の担保のため本件土地に根抵当権を設定し、その後これを売却しその代金により本件借入金に係る債務を弁済していること、[3]請求人は、借入れ後直ちにこれをA法人に貸し付け、かつ、これに伴い利ざやその他の金利に相当する金銭等を収受していないこと、[4]A法人は、請求人からの借入れについて、B農協から直接借り入れた場合と同様の経理処理をしていることなどの事実が認められる場合には、請求人の前記債務は、請求人がA法人の債務を補償することに代えて自己名義で借り入れた債務というべきであるから、所得税法第64条第2項の規定の適用については、これを同条項にいう保証債務と同等のものと認めるのが相当である。
昭和55年6月24日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 自己の名義による他人のための借入金債務について、所得税法第64条第2項の規定の適用上同項に規定する保証債務と同視し得るものとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>所得計算の特例>保証債務の履行)
- 事業は廃止されたものとは認められないから所得税法第63条の必要経費の特例の規定は適用できないとした事例
- 長男の債務の弁済を繰り返し行い、かつ、その求償権を放棄することは所得税法第64条第2項に当たらないとした事例
- 被相続人の税理士業務は、同人の死亡により所得税法第63条に規定する事業の「廃止」があったとした事例
- 譲渡代金の一部を保証債務の履行に充てたとした事例
- 主たる債務者が会社であるか、会社の代表者であるかが借用書上定かでない借入れについて、債権者が弟達で、借入れに事情があることや会社の経理等の念査から、本件借入れの債務者は会社で、会社の代表者がこれを保証したものと認定し、所得税法第64条第2項の適用を認めた事例
- 債務保証をした事実はないこと及び譲渡代金が借入金の返済に充てられていないことから、本件土地の譲渡につき、所得税法第64条第2項に規定する保証債務の特例を適用することはできないとした事例
- 主たる債務者はいまだ求償権を行使しても回収の見込みのないことが確実な状況にまで立ち至ったとは認められないので保証債務の履行に伴い求償権が行使できない場合に該当しないとした事例
- 請求人の経営する会社への建物及び土地の無償譲渡について、所得税法第64条第2項の規定の適用を認めた事例
- 請求人らの代理人が譲渡代金の全額を買主から受領した後、代理人から当該代金を回収できないとしても、保証債務の特例は適用できないとして請求人の主張を排斥した事例
- 請求人の主張する保証債務の存在を認めなかった事例
- 求償権の行使が不能であるから不動産の譲渡につき所得税法第64条第2項の規定が適用されるべきであるとの主張を排斥した事例
- 保証債務の特例を適用するに当たり、土地の譲渡代金が主債務者を経由して債務の返済に充てられている場合など、形式的には保証債務の履行といえない場合は、実質的にみて保証債務の履行であることが客観的に明らかであることが必要であるとした事例
- 借入金で保証債務を履行した場合における借入金の利子は履行に伴う求償権の額には含まれないとした事例
- 保証債務の履行に伴う他の連帯保証人に対する求償権については、当該他の連帯保証人は債務超過の状態にあり、求償権の行使は不可能であると認定して、所得税法第64条第2項の適用を認容した事例
- 物上保証人である請求人が債務額を代位弁済した場合の所得税法第64条第2項の規定の適用上、物上保証人である請求人は代位弁済額のうち自己の負担割合を超える部分について連帯保証人に対して求償権を取得し、連帯保証人のうち償還をなす資力のないものがある場合においても、その償還資力がない者の負担部分も他の連帯保証人の間で分割負担されるものとして、求償権行使可能額を計算すべきであるとした事例
- 資産の譲渡代金の一部が保証債務の履行に充てられていなかったとしても、所得税法第64条第2項に規定する保証債務の特例が適用されるとした事例
- 妻の借入金の保証債務について所得税法第64条第2項の適用はなく、また所得税法第9条第1項第10号にも当たらないとした事例
- 山林の伐採譲渡について、所得税法第64条第2項の所得計算の特例の適用は認められないとした事例
- 土地を譲渡しその代金を債務保証をした会社に提供したことにつき、当該譲渡は保証債務の履行のためのものとは認められないとした事例
- 譲渡代金によって弁済したのは自己の債務であって、保証債務ではないとして、保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の譲渡所得の特例の適用を認めなかった事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。