譲渡の数年後に譲渡代金相当額を請求したが回収できなかった場合において、譲渡代金の回収不能として認めなかった事例
[所得税法][所得計算の特例][交換の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2000/07/14 [所得税法][所得計算の特例][交換の特例] 請求人は、相続財産の管理を委託していたJに、同人への債務を返済するため本件土地を譲渡したところ、同人が、相殺後の残代金を支払わないまま死亡し、その相続人も相続放棄をしたため、本件未収金が回収できなくなったから、所得税法第64条第1項の規定(本件特例)を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、相殺後の残代金の決済について何年も具体的な取決めをせず、即時に精算を求めていないことからすれば、本件譲渡代金の残代金についてもJに引き続いて管理を委託していたとみるのが相当である。仮に、Jが、請求人名義で預金を管理していたことを請求人が知らなかったとしても、前記認定を覆すものとはいえず、かえって、請求人は、J及びその請求人に対し、貸付金又は預け金として返済を求めていることが認められる。
したがって、本件未収金は、譲渡代金そのものが回収不能となったと見ることはできず、請求人がJに対して有する貸付金ないし預け金の返還請求権について、行使不能となったと認めるのが相当であるから、本件特例を適用する余地はない。
平成12年7月14日裁決
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