所得税更正処分取消等請求事件|平成21(行ウ)209
[所得税法][雑所得]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成22年10月8日 [所得税法][雑所得]判示事項
1 民法上の組合の組合員が組合を通じて取得した新株予約権の行使による経済的利益が雑所得に当たるとしてした所得税の更正処分が,適法とされた事例2 民法上の組合の組合員が組合を通じて取得した新株予約権の行使による経済的利益の算定を権利行使の日における証券取引所の公表する株式の最終価格を基礎としてした所得税の更正処分が,適法とされた事例
裁判要旨
1 民法上の組合の組合員が組合を通じて取得した新株予約権の行使による経済的利益が雑所得に当たるとしてした所得税の更正処分につき,所得税法34条1項の「労務その他役務の対価」とは給付が具体的又は特定的な役務行為に対応する等価の関係にある場合に限られるものではなく,広く給付が抽象的又は一般的な役務行為に密接に関連してされる場合を含むものと解するのが相当であるとした上,当該組合は,当該新株予約権の発行に際し,当該新株予約権の発行主体たる株式会社に対し,長期安定株主となって,新規事業の情報,ノウハウ,人材の提供その他の役務の提供を行うことを約していたこと,だからこそ,同社は,同組合に対し,有利な発行価額で新株予約権を割り当て,新株予約権の行使に際し払込みをすべき額も低額としたことからすると,同組合が新株予約権を行使して株式の発行を受けることによって得られた経済的利益は,同組合による同社に対する役務の提供の対価としての性質を有しているとして,前記更正処分を適法とした事例2 民法上の組合の組合員が組合を通じて取得した新株予約権の行使による経済的利益の算定を権利行使の日における証券取引所の公表する株式の最終価格(終値)を基礎としてした所得税の更正処分につき,証券取引所に上場されている株式の公表されている価格は,市場を通じた不特定多数の当事者間の自由な取引によって成立した客観的なものであり,当該取引日の終値は一般に時価として広く認識され利用されていること等からすると,新株予約権の行使により取得する株式が証券取引所に上場されている場合には,所得税法施行令84条3号所定の「当該権利の行使により取得した株式(中略)のその行使の日(中略)における価額」は,特段の事情のない限り,終値によるのが相当であるとした上,当該株式に係る譲渡禁止特約に法的拘束力があったとしても株式の客観的交換価値に具体的な影響を及ぼすものとはいえず,そのほかにも前記特段の事情は認められないとして,前記更正処分を適法とした事例
- 裁判所名
- 東京地方裁判所
- 事件番号
- 平成21(行ウ)209
- 事件名
- 所得税更正処分取消等請求事件
- 裁判年月日
- 平成22年10月8日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分取消等請求事件|平成21(行ウ)209
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