ロータリークラブの会費等は必要経費に算入できないとした事例(平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年3月6日裁決)

[所得税法][必要経費][事業所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。

裁決事例(国税不服審判所)

2014/00/00 [所得税法][必要経費][事業所得]

平成26年3月6日裁決

《ポイント》 本事例は、司法書士業を営む請求人が支出したロータリークラブの入会金及び会費は、請求人が当該クラブの会員として行った活動を社会通念に照らして客観的にみれば、その活動は、司法書士の業務と直接関係するものということはできず、また、その活動が司法書士としての業務の遂行上必要なものということはできないため、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできないとしたものである。

《要旨》 請求人は、所得税法第37条《必要経費》第1項に規定する「販売費、一般管理費及びその他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」とは、文理解釈する限り、業務と直接の関係を持つものである必要はなく、客観的にみて所得を生ずるのに必要なものであれば足りるとして、加入するロータリークラブ(本件クラブ)の入会金及び年会費(本件各諸会費)は必要経費に算入できる旨主張する。
 しかしながら、事業所得の金額の計算上、必要経費が総収入金額から控除されることの趣旨は、投下資本の回収部分に課税が及ぶことを回避することにあると解されるところ、日常生活において事業による所得の獲得活動のみならず、所得の処分としての私的な消費活動も行っている個人の事業主における事業所得の金額の計算に当たっては、事業上の必要経費と所得の処分である家事費とを明確に区分する必要があり、それらを踏まえて所得税法第37条1項、同法45条《家事関連費等の必要経費不算入等》第1項及び所得税法施行令第96条《家事関連費》第1号の各文言に照らせば、所得税法第37条第1項のいう費用とは、単に業務と関連があるというだけではなく、その支出が業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要なものに限られると解するのが相当であり、その判断は、単に業務を行う者の主観的な動機・判断によるのではなく、当該業務の内容や、当該支出の趣旨・目的等の諸般の事情を総合的に考慮し、社会通念に照らして客観的に行われなければならないと解される。以上のことから、請求人が本件クラブの会員として行った活動を社会通念に照らして客観的にみれば、その活動は、登記又は供託に関する手続について代理することなど司法書士法第3条《業務》第1項各号に規定する業務と直接関係するものということはできず、また、その活動が司法書士としての業務の遂行上必要なものということはできないため、請求人が支出した本件各諸会費は、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできない。

《参照条文等》 所得税法第37条

国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
ロータリークラブの会費等は必要経費に算入できないとした事例(平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年3月6日裁決)

関連するカテゴリ

関連する裁決事例(所得税法>必要経費>事業所得)

  1. 請求人が貸倒れとなったと主張する債務者3名に対する貸付金は、いずれも請求人の営む事業に関して生じた貸付金ではないとした事例
  2. 請求人の夫の事業への従事の程度は、一時的ないし臨時的なものであって、事業に専ら従事するものとは認められないとした事例
  3. 請求人が債権譲渡により生じたとする貸倒損失は認められず、また、修正申告書を作成するに当たって支払ったとする決算事務手数料は、必要経費に算入されないとした事例
  4. 請求人の青色申告の特典控除前の所得金額に、同業者の青色申告の特典控除前の所得金額に占める妻の青色事業専従者給与の額の割合の平均値を乗じて算定した金額を必要経費に算入できる額としたことは、合理的な認定方法であるとした事例
  5. 一括払いの積立普通傷害保険の保険料のうち満期返戻金等の原資となる積立保険料部分は、業務遂行上必要な費用とは認められないから、保険料支払のための借入金に係る利息のうち、積立保険料に対応する額は、事業所得の金額の計算上必要経費とは認められないとした事例
  6. 請求人の夫は青色事業専従者に該当しないとした事例
  7. 請求人が有する破産会社に対する売掛債権の貸倒損失の計上時期は、配当可能な財産がなくその全額が客観的に回収不能となったと認められる破産手続終結の決定がなされた時点であるとした事例
  8. 従業員であり請求人の母親である者の死亡に伴い支出した弔慰金及び香典は、事業と直接の関連を有し、客観的に通常かつ必要な費用であるとは認められないことから、必要経費に算入することはできないとした事例
  9. 歯科医師が実施した歯科技工に関する研修及び研究開発等に関係会社の歯科技工士等が参加協力したことに対して支出した金品は当該歯科医師の事業所得の金額の計算上必要経費に該当するとした事例
  10. 借入金の一部を定期預金に流用していた場合に、当該借入金に係る支払利息を事業上の必要経費と認めた事例
  11. 個人事業主の死亡は当然に雇用契約の終了事由、事業廃止原因であるから、従業員に支給する退職金の必要経費算入を認めるべきであるとの請求人の主張が排斥された事例
  12. 請求人が主張する本件旅費交通費等は、簿外経費に係るものであり、また、請求人が提出した本件説明資料は請求人の記憶のみに基づくもので、他に同資料を裏付ける領収書等の証拠資料の提示がないことから、本件旅費交通費等の存在を認めることはできないとした事例
  13. 株式取得のための借入金の利子は配当所得の必要経費であり事業所得の必要経費ではないとした事例
  14. 事業所得の金額の計算上、仮装した事実等により総収入金額及び必要経費を算出していたとした事例
  15. 請求人が業務の用に供するために取得した土地建物に係る借入金の利子について、当該土地建物は放置したまま何ら業務の用に供されていないから必要経費に算入されないとした事例
  16. 本件土地の取得に要した借入金の支払利子は、不動産所得あるいは事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができないとした事例
  17. 青色事業専従者給与の支払に充てられた資金の原資が請求人の給与収入から請求人の事業に振り替えられたもの(事業主借)であることを理由に、青色事業専従者給与の支払額全額が、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入できないとした原処分庁の主張を排斥した事例(平成22年分〜平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平成27年4月13日裁決)
  18. 請求人が支出した諸会費等が家事関連費に該当するとしても、業務の遂行上直接必要な部分を明らかにすることができないから、必要経費の額に算入することはできないとした事例
  19. 住民登録のない者への外注費の支払を否認した原処分につき請求人の主張を一部容認した事例
  20. 請求人が開業費として計上した平成10年1月〜5月の地代家賃等は、平成10年1月の開業後に支出したものであるから、平成15年分の事業所得の計算上当該開業費の償却費を必要経費に算入することはできないとした事例

※最大20件まで表示

税法別に税務訴訟事例を調べる

当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。


戦略的に節税するための無料ツール

一括節税計算機
※所得を入力して、税目別に税額を一括比較する
所 得万円 *必須
減少額万円 *任意  設定  消去
[対応税目]*法人税*所得税*消費税*相続税*贈与税*利子所得*配当所得*給与所得*退職所得*譲渡所得(土地)*譲渡所得(株式)*譲渡所得(総合)*一時所得*雑所得(年金)*雑所得(FX等)

*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください

このページを他の人に教える


ご意見ご要望をお聞かせ下さい

 過去のご意見ご要望については、ご意見ご要望&回答一覧で確認できます。

利用規約をお読み下さい

 本サイトのご利用にあたっては利用規約を必ずお読み下さい。

広告を募集しています

 本サイトでは掲載していただける広告を募集しております。詳しくは広告掲載をご覧ください。
新着情報 RSS
01/29 生命保険で節税
02/08 所得税の延納(利子税)で節税
09/26 経営セーフティ共済で節税
02/22 役員報酬(事前確定届出給与)で節税
02/19 不動産(再建築費評点基準表)で節税
新着情報を見る
節税対策ブログ
02/13 所得税確定申告で誤りの多い12項目(2019年度版)
01/29 死亡退職金の受取人(役員退職慰労金規程と相続税)
02/22 所得税確定申告で誤りの多い事例とは
02/02 クレジットカードポイント等の税務処理
02/01 ふるさと納税特産品と株主優待の税務処理
節税対策ブログを見る
アクセス数
今日:111
昨日:371
ページビュー
今日:486
昨日:1,012

ページの先頭へ移動