法人成りにより個人事業を廃業した年分に、繰延資産(医師会の入会金等)の未償却残額を資産損失として必要経費に算入することはできないとした事例
[所得税法][必要経費][事業所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2003/06/24 [所得税法][必要経費][事業所得] 請求人は、繰延資産として償却していた医師会への入会金及び開業時負担金について、償却期間が終了する前に個人事業を廃業(法人成り)した場合の未償却残額は資産損失に該当する旨主張する。
しかしながら、繰延資産の未償却残額に資産損失が生じたか否かは、その繰延資産に係る支出の効果に予定外の減少又は消滅があったかどうかにより判断するのが相当であると解される。
そうすると、請求人は、個人事業を廃業した後も引き続き医師会の会員であり、医師会から従前と同様の各種の教育・サービスを受けていると認められるので、請求人が医師会から受ける便益は変わらないのであるから、個人事業の廃業により入会金及び開業時負担金に係る支出の効果には予定外の消滅や減少があったとは認められず、資産損失が生じたとは認められない。
したがって、入会金及び開業時負担金のうち個人事業の廃業時における未償却残額については、所得税法第51条第1項に規定する「その他の事由により生じた損失の金額には該当せず、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
平成15年6月24日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 法人成りにより個人事業を廃業した年分に、繰延資産(医師会の入会金等)の未償却残額を資産損失として必要経費に算入することはできないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>必要経費>事業所得)
- 管工事協同組合に加入するに当たり支出した加入金は必要経費ではなく組合に対する持分の取得費であるとした事例
- 請求人の妻が現に不動産貸付業及び理容業に係る業務に従事していたとしても、その事務量は僅少であるから、青色事業専従者に該当しないとした事例
- 請求人の青色申告の特典控除前の所得金額に、同業者の青色申告の特典控除前の所得金額に占める妻の青色事業専従者給与の額の割合の平均値を乗じて算定した金額を必要経費に算入できる額としたことは、合理的な認定方法であるとした事例
- 請求人が、原処分庁が認定した必要経費を超える費用について、具体的内容を明らかにしないことから、当該費用を必要経費に算入することはできないとした事例
- 青色事業専従者給与の金額については、その労務の性質及び提供の程度は他の使用人と比べて大きく異なるものではないことから、労務の対価として相当ではないとした事例
- 証券外務員が行った取引先への融資に係る回収不能額を貸倒損失として事業所得の金額の計算上必要経費に算入した事例
- 同居している請求人の妻の父母が独立した生計を営んでいるとはいえないから、同父母に支払った給料及び地代は必要経費に算入することはできないとした事例
- 給与所得者の特定支出の控除の特例を適用することはできないとした事例
- 不動産の賃貸料収入が多額であったとしても、その賃貸は事業的規模に当たらないとされた事例
- 税理士である請求人の、関与先への貸付金が、税理士業の遂行上生じた貸付金とは認められないから、請求人が当該貸付金に係る貸倒引当金として繰り入れた金額は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入できないとした事例
- 保証債務を履行したことにより生じた損失は事業遂行上生じたものではないから、必要経費に算入することはできないとした事例
- 通勤費相当額は給与収入を得るために必ず発生する必要な費用であるから非課税所得として給与収入から除外すべきであるとの請求人の主張を排斥した事例
- 請求人の妻である医師は、請求人の事業に専ら従事していないとして、妻に対して支払った青色事業専従者給与の額は必要経費に算入されないとした事例
- 未収リース相当額の債権に係る貸倒損失は事業の遂行上生じたものであるとした事例
- 1. 請求人が架空の必要経費を計上し、多額の所得金額を脱漏したばかりか、調査担当職員に帳簿書類の保存がない等の虚偽の答弁をしたことは、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に当たるとされた事例2. 更正処分により賦課される事業税の額を見込額で必要経費に算入すべきとの請求人の主張が排斥された事例3. 請求人が会計データを保存していたフロッピーディスクに不具合が生じ、出力不可能となったこと等を理由に帳簿書類等を提示しなかったことは、青色申告承認取消事由に当たるとされた事例
- 請求人の夫は青色事業専従者に該当しないとした事例
- 事業を営む請求人が主宰する法人に対する貸付金(無利子)の資金を借入金でまかなっている場合の借入金利子は、必要経費に該当しないとした事例
- 請求人の夫の事業への従事の程度は、一時的ないし臨時的なものであって、事業に専ら従事するものとは認められないとした事例
- 新たに診療所を開設するに当たっての診療開始前の期間に係る借入金利子は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないとした事例
- 請求人が開業費として計上した平成10年1月〜5月の地代家賃等は、平成10年1月の開業後に支出したものであるから、平成15年分の事業所得の計算上当該開業費の償却費を必要経費に算入することはできないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。