不動産の売買価格の認定において、原処分庁が根拠とした関係人の答述等は内容に不一致が多く信ぴょう性がないとし、請求人の答述を採用し、原処分の一部を取り消した事例
裁決事例(国税不服審判所)
1994/07/08 [所得税法][収入金額][収入金額の計算] 請求人らは、本件物件の売買価格につき、真正の価格は57,000,000円であり、売買契約書上は5,000,000円を圧縮して52,000,000,円としたものであり、本件物件の賃貸に係る預り敷金の買主の引継分1,640,000円を加算した58,640,000円が本件物件の譲渡収入金額であると主張し、原処分庁は、請求人側の仲介人であるDホームのEの申述、買主側の仲介人とされているが真実の譲受人と認めるB社のFの作成したメモ等から、売買価額は85,000,000円であり、預り敷金4,040,000円を加算した89,040,000円が譲渡収入金額であると主張する。
DホームのEは、売主側の仲介人であるにもかかわらず、その答述はあいまい、かつ、一貫性を欠いており、売買において主要な役割を果たしたB社のFのみが取引経緯につき明確な答述をし、同人のメモには売買価額が85,000,000円と記載されている。
しかし、本件物件の実際の買主は売買契約書上のNではなく、B社のTと認められるところ、Fは、本件取引の架空の中間譲渡人Nを介在させたり、その後所在不明であるなど、Fの答述は信ぴょう性を欠き採用できない。また、売買代金の決済として85,000,000円を支払ったとする証拠書類は何ら存在せず、Fのメモも証拠として採用できない。
したがって、本件物件の売買価額は、請求人の答述した57,000,000円と認定せざるを得ず、また、本件物件の譲渡に伴って最終買主に引き継がれた預り敷金の額は1,640,000円と認められるから、これらの合計58,640,000円が譲渡収入金額と認定される。
平成6年7月8日裁決
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