遅延損害金債務の債務免除益について、「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合」に該当しないとして、所得税基本通達36−17《債務免除益の特例》は適用されないとした事例
[所得税法][収入金額][収入金額の計算]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2007/06/12 [所得税法][収入金額][収入金額の計算] 所得税基本通達36−17にいう「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合」とは、単に債務超過の状態にあるだけでは足りず、債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても、調達ができないと認められる場合をいうものと解される。
これを本件についてみると、請求人は、債務免除の前後において安定的な賃貸収入を稼得し、上記借入金の弁済に充てており、しかも同借入金以外の債務についても、債務免除の前後において弁済をしていた。そして、請求人の収入から借入金の返済額その他の支出額を控除した請求人の生活費として消費可能な所得は、総務省の家計調査における一世帯当たりの年間消費支出を上回っていることなどからすれば、債務免除の時点において、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないとは認められない。
さらに、請求人の資産・負債の状況についてみても、請求人は、主要な資産である自宅及び賃貸用不動産を処分することなく保有しており、また、上記の請求人の支払能力からすれば、債務全額について弁済が不可能となるほどの著しい債務超過があったとはいえないから、「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合」に該当するとは認められない。
平成19年6月12日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 遅延損害金債務の債務免除益について、「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合」に該当しないとして、所得税基本通達36−17《債務免除益の特例》は適用されないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>収入金額>収入金額の計算)
- 1. 現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、会社が所有する土地の価額は相続税評価額ではなく通常取引される価額によるべきであるとした事例2. 現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、法人税等の税額に相当する金額を控除すべきでないとした事例
- 土地建物の譲渡に際し、架空の中間譲渡人を介在させて譲渡収入金額の圧縮を計ったとして、最終買受人の購入価額を譲渡収入金額と認定した原処分を相当と認めた事例
- 遅延損害金債務の債務免除益について、「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合」に該当しないとして、所得税基本通達36−17《債務免除益の特例》は適用されないとした事例
- 不動産の賃貸借契約に係る保証金のうち、契約解除に伴い返還を要しないこととされた金額は、不動産所得の収入金額であり、臨時所得に該当するとした事例
- 海外の顧客との商取引は請求人の売買取引ではないから、海外から送金を受けた金額は請求人の収入になるものではなく、コミッション相当額のみが収入金額であるとの請求人の主張が排斥された事例
- 現物出資に係る譲渡所得の収入金額は、法人の受入価額ではなく出資による取得株式の時価であるとした事例
- 不動産の譲渡による収入金額を認定した事例
- 不動産の譲渡について、中間譲渡人は存在せず、請求人から直接所有権移転登記上の譲受人に譲渡されたものであるとして、譲渡価額を認定した事例
- 代償分割により、共同相続人の一人が所有する土地を他の相続人に交付したことによる譲渡所得の収入すべき金額は、その土地の時価によるべきとした事例
- 本件譲渡は、中間譲受人が介在した事実はなく、被相続人から最終譲受人に対し、直接なされたものであるとした事例
- 等価交換でも譲渡所得が生じるとした上で、総収入金額に算入すべき金額を認定した事例
- 請求人が時効取得した旧国有地の時価(一時所得の収入金額)は、国有財産評価基準に基づき評価した価額とするのが相当であるとした事例
- 遅延損害金の定めのない貸付金にあっては、約定利率と同じ割合で遅延損害金が日々発生しているものと解すべきであり、本件はこれを新たに消費貸借の目的としたものと認められることから、当該遅延損害金が回収不能になったとしても所得税法第64条第1項の規定の適用はないとした事例
- みなし配当所得の収入金額の算定に当たり、減資により交付を受けた資産の時価から抵当権による被担保債権額を控除することはできないとした事例
- 現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、法人税等の税額に相当する金額を控除すべきでないとした事例
- 被扶養者の入学金及び授業料等を減額免除されたことによる学費減免相当額は給与所得の収入金額に該当するとした事例
- 請求人は、乙農地についてはB女の所有する丁農地と等価交換したものであると主張するが、実際は、交換取引が存在しないから、所得税法第58条の規定を適用することはできないとした事例
- 不動産の売買価格の認定において、原処分庁が根拠とした関係人の答述等は内容に不一致が多く信ぴょう性がないとし、請求人の答述を採用し、原処分の一部を取り消した事例
- 譲渡収入金額を底地部分と権利部分にあん分する場合の更地価額について、売買契約が解除され成立していない契約の契約金額によることは適当でないとした事例
- 譲渡の対価として代替地及び建物の交付の要求に対し、譲受人は代替地を購入して建物を建築して渡していることから、譲渡収入の金額は、代替地と建物建築価額の合計額になるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。