賃借人から土地賃貸借契約の終了に伴い原状回復費用名目で受領した金員は、その土地賃貸借契約の終了した日の属する年分の不動産所得の収入金額であると認定した事例
[所得税法][収入金額][収入すべき時期]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2004/02/27 [所得税法][収入金額][収入すべき時期] 請求人は、賃貸していた甲土地の原状回復工事については、本件合意書を交わすまでには賃借人であるB大学と何度も協議を重ね、解約に関する真意を基礎に本件合意書を交わしたものであり、B大学が甲土地の原状回復義務の履行を請求人に委任するに際し、本件合意金に過不足が生じたとしても精算を行わないこととしたのは、B大学側の諸般の事情及び強い意向を汲んで、請求人が承諾したものであり、本件合意金については、B大学が行うべき原状回復工事の費用を、同大学の都合から預ったものであるから、甲土地の原状回復工事が完了した平成14年7月31日までは、預り金とすべきであり、平成13年分の不動産所得に係る総収入金額とはならないと主張する。
しかしながら、請求人及びB大学が、保証金と本件合意金とを相殺し、請求人が同大学に対しその過不足額を支払ったことにより、B大学は、本件合意金の支払義務を履行したことが認められるが、本件合意書の内容によれば、本件合意金の支払義務履行によりB大学の原状回復義務は消滅し、請求人に対し甲土地を現況の状態に復し、返還したことになり、また、請求人とB大学との間には何らの債権債務も存しないのであるから、請求人には、本件合意金の返還義務はないことになる。
したがって、本件合意金をB大学からの預り金であるとするのは相当ではなく、平成13年中に確定したものとして、平成13年分の不動産所得に係る総収入金額として計上すべきものと認められる。
平成16年2月27日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 賃借人から土地賃貸借契約の終了に伴い原状回復費用名目で受領した金員は、その土地賃貸借契約の終了した日の属する年分の不動産所得の収入金額であると認定した事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>収入金額>収入すべき時期)
- 不動産販売会社の外交員が売買契約の成立前に支給を受けた歩合について、事業所得の収入金額とならないとする更正の請求に相当の理由があるとした事例
- 分筆して譲渡した農地に係る課税年分はそれぞれ分筆後の農地の所有権が移転した日の属する年分であるとした事例
- 請負契約に係る収入金額の収入すべき時期は、役務の提供の完了した日とした事例
- 退職年金の初回支給額振込通知書の送達が翌年であっても、その初回支給額は国家公務員共済組合法に定める支給日に確定するとした事例
- 歯列矯正装置の装着時に請求し、受領している矯正施術料は、その全額が請求の時の収入金額となるとし、3年間に配分すべきであるとする主張を排斥した事例
- 請求人が合名会社を退社するに当たり受領したみなし配当所得の収入すべき時期は、退社することについて総社員の同意があった日であり、年賦で支払われるものであっても、その全額が一括して課税されるとした事例
- 時効により取得した土地に係る一時所得の収入金額の確定時期は訴訟において時効の援用をした日であるとした事例
- 収用裁決につき争訟が提起されている場合でも、当該収用に係る補償金は当該裁決の権利取得日の属する年分の譲渡所得の収入金額に当たるとした事例
- 一団の土地を取得し、順次、同一人に譲渡する旨の契約に基づき土地を譲渡した場合で、約定土地のすべてを譲渡できないときは買主の要請により買戻義務が生ずる旨の特約があっても、棚卸資産である土地の譲渡に係る収入金額を計上すべき時期は、上記特約にかかわらず、当該土地の引渡しがあった日であるとした事例
- 利息制限法に定める制限利率を超える部分の利息及び遅延損害金は、現実の支払があった時点において事業所得の総収入金額に算入すべきであり、未収の場合には、制限利率の部分のみ総収入金額に算入すべきであるとした事例
- 調停に基づく離婚慰謝料として譲渡することとなったマンションの譲渡時期は、所有権移転登記のときではなく、当該マンションから請求人の資産を搬出し、当該マンションを相手方に引き渡したときであるとした事例
- 国が請求人所有土地を駐留軍用地として10年間強制使用するについて請求人に対し損失補償金として一括で支払われた10年間の地代の収入すべき時期は、収用裁決に基づく請求人所有土地明渡しの日及び損失補償金全額の受領の日の属する年分であるとした事例
- 未分割遺産の譲渡に係る収入金額が譲渡時において確定していなかった旨の主張を退けた事例
- 不動産の譲渡所得が譲渡に関する契約の効力発生の日の属する年に帰属するとした事例
- 土地の賃貸料につき増額要求する訴訟の係属中において供託された当該賃貸料の収入すべき時期は、供託された日であるとした事例
- 土地の売買契約の締結日において、前受金等として売買代金の3分の2に相当する金額が授受され、所有権移転登記に必要な書類の全てが引き渡されるとともに、同日所有権移転登記もなされている本件において、土地の引渡しは同日になされているものと認められ、当該土地の譲渡所得は、同日に発生するとした事例
- 外国特許事務に係る弁理士報酬の収入金額の確定の時期は依頼者の検収が終了した時点であるとした事例
- 医師の診療契約に基づく診療報酬債権は、患者に対して診療を行う都度、役務の提供が完了するものであり、医師が患者に対して診療を行った時期にその権利が確定すると解されるから、医師の事業所得の金額の計算上、診療報酬債権は、医師が診療を行った時期の属する年分の収入金額として計上すべきであるとした事例
- 賃借人から土地賃貸借契約の終了に伴い原状回復費用名目で受領した金員は、その土地賃貸借契約の終了した日の属する年分の不動産所得の収入金額であると認定した事例
- 譲渡所得の帰属年分は、甲契約を締結した日の属する年分ではなく、甲契約を締結して代金全額を受領するとともに、所有権移転登記を了した日の属する年分であるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。