日本法人及び国外に所在する外国法人の役員を務める請求人は、日本の居住者に当たり、また、請求人には租税回避の意図がなく、外国法人の課税対象留保金額に係る金員を現実に得ていないことはタックスヘイブン課税の適用除外要件に該当しないとしてタックスヘイブン課税を適用した事例
裁決事例(国税不服審判所)
2006/05/29 [所得税法][総則] 請求人は、F国その他諸外国を本店所在地とする内国法人の関係法人の代表取締役等の地位にあり、F国を拠点として相当期間国外に居住することが必要であっため、平成13年は194日間、同14年は122日間国外に滞在し、うちF国に滞在した日数は、平成13年は92日、同14年は71日であり、F国滞在中は同地にあるマンションに居住していたことなどから、請求人の住所はF国にあり日本の居住者には該当しない旨主張する。
しかしながら、請求人は、我が国においても内国法人の代表取締役の地位にあり、その職務を遂行するために我が国に居住する必要があり、実際に我が国において請求人が所有する自宅に配偶者とともに居住しているのであるから、我が国においても職業上及び私生活上居住する必要があったと認められる。請求人の日本国内滞在日数は、平成13年は171日、同14年は247日であり、F国に滞在した日数は、平成13年は29日、同14年は40日と、請求人が生活の本拠地であると主張するF国の滞在日数を我が国に滞在した日数が大幅に上回ることからすれば、相対的に見て我が国に滞在する職業上又は私生活上の必要性が優っていたと認められ、更に、生計を一にする配偶者が我が国に生活の本拠を有することや請求人が我が国に自宅及び賃貸用不動産を所有する一方、F国においては不動産を所有していないことなど客観的事実を総合的に勘案すれば、請求人は、我が国に生活の本拠を有しており、各年分において居住者であると認められる。
また、請求人には、租税回避の意図はなく、原処分は正常な海外投資活動を阻害すること、課税対象留保金額に係る金員を現実に得ておらず、担税力もないことなどから、請求人は、G国を本店所在地とするH社に係るタックスヘイブン課税を適用されない旨主張する。
しかしながら、請求人は、租税特別措置法第40条の4第1項第1号の居住者に該当し、H社は、租税特別措置法第40条の4第2項第1号に規定する外国関係会社及び同法第40条の4第1項に規定する特定外国子会社等に該当すると認められる。また、H社は、株式保有を主たる事業としているからタックスヘイブン課税の適用除外規定の適用がないことは明らかであり、請求人の主張する事項は、租税特別措置法第40条の4第3項のいずれにも該当しないから、タックスヘイブン課税の適用に何ら影響を与えない。
したがって、請求人の主張には理由がない。
平成18年5月29日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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