所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成12年(行ウ)第134号,差戻前の控訴審・当庁平成15年(行コ)第7号,上告審・最高裁判所平成16年(行ヒ)第86号,第87号)|平成18(行コ)110
[所得税法][譲渡所得][租税特別措置法][過少申告加算税][重加算税]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成18年9月13日 [所得税法][譲渡所得][租税特別措置法][過少申告加算税][重加算税]判示事項
所得税の確定申告手続を税理士に委任したところ,当該税理士が税務署職員と共謀して内容虚偽の納税申告書を作成,提出して過少申告を行っていたことが発覚し,その後に,租税特別措置法(平成10年法律第23号による改正前)36条の6第1項所定の買換特例の適用を前提とした修正申告をした納税者が,同修正申告により新たに納付すべきこととなった税額に対し,過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分を受け,さらに,前記買換特例の適用を否認した額での更正処分及び同更正処分により新たに納付すべきこととなった税額に対し重加算税の賦課決定処分を受けたため,税務署長に対してした,前記更正処分のうち修正申告額を超える部分及びその後の重加算税賦課決定処分のうち過少申告加算税額相当分の取消請求が,認容された事例裁判要旨
所得税の確定申告手続を税理士に委任したところ,当該税理士が税務署職員と共謀して内容虚偽の納税申告書を作成,提出して過少申告を行っていたことが発覚し,その後に,租税特別措置法(平成10年法律第23号による改正前)36条の6第1項所定の買換特例の適用を前提とした修正申告をした納税者が,同修正申告により新たに納付すべきこととなった税額に対し,過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分を受け,さらに,前記買換特例の適用を否認した額での更正処分及び同更正処分により新たに納付すべきこととなった税額に対し重加算税の賦課決定処分を受けたため,税務署長に対してした,前記更正処分のうち修正申告額を超える部分及びその後の重加算税賦課決定処分のうち過少申告加算税額相当分の取消請求につき,租税特別措置法(平成11年法律第160号による改正前)36条の2第4項(現同条3項)は,買換特例の制度が,譲渡所得に対する課税を免除するものではなく,課税の時期を納税者の選択にゆだねるものであることから,その優遇措置の適用を選択した納税者のみに対し,かつ,その旨を確定申告書に記載し,所定の書類を添付した場合にのみ適用することとして,大量の事務処理を旨とする税額確定手続における画一的かつ的確な処理の実現を図ったものと解され,その例外規定である同法(同改正前)36条の2第5項(現同条4項)にいう「やむを得ない事情」とは天災その他本人の責めに帰すことのできない客観的な事情があって,買換特例の制度趣旨に照らし,納税者に対してその適用を拒否することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当であるとした上,前記納税者は,委任した税理士から示された税額の根拠や確定申告書の控え等につき何ら確認しておらず,落ち度があったといわざるを得ないが,租税についての専門的知識はなく,税理士を信頼して,前記買換特例の適用を当然の前提として関係書類等を交付し,処理をゆだねていたものであり,一方で,現職の税務署職員が税理士の請託を受け,賄賂を収受して脱税行為に関与しており,こうした関与がなければ,同税理士の脱税行為の遂行は不可能であったことが認められ,このような特別の事情をしんしゃくすると,前記の納税者には「やむを得ない事情」があると認めることができるとして,前記請求を認容した事例- 裁判所名
- 東京高等裁判所
- 事件番号
- 平成18(行コ)110
- 事件名
- 所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成12年(行ウ)第134号,差戻前の控訴審・当庁平成15年(行コ)第7号,上告審・最高裁判所平成16年(行ヒ)第86号,第87号)
- 裁判年月日
- 平成18年9月13日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成12年(行ウ)第134号,差戻前の控訴審・当庁平成15年(行コ)第7号,上告審・最高裁判所平成16年(行ヒ)第86号,第87号)|平成18(行コ)110
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- 請求人が木材の輸入取引において仕入に計上した取引額の一部に、本事業年度以外の事業年度の損金の額に算入すべきものがあるが、当該金額については、架空、金額の水増し又は重複計上などによって過大に計上したものとは認められず、損金算入時期の誤りによるものと認められるから、重加算税の賦課要件たる事実を隠ぺい仮装したことには当たらないとした事例
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- 請求人の常務取締役として経営に参画し、担当部門に係る取引全般を総括的に委任されている者の行った仕入金額の架空計上は、たとえそれを請求人の代表者が知らなかったとしても、請求人の隠ぺい又は仮装行為と同視すべきであり、重加算税の賦課決定は適法であるとした事例
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