納税告知処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成16年(行ウ)第13号)|平成17(行コ)198
[所得税法][源泉徴収]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成17年12月21日 [所得税法][源泉徴収]判示事項
1 所得税法2条1項10号にいう「預金」及び同法(平成14年法律第65号による改正前)23条1項にいう「預貯金」の意義 2 日本国内に本店を有する法人が発行した社債等の支払債務(以下,「原債務」という。)の履行を引き受けることなどを内容とする契約を締結し,同契約に基づき前記法人から金員を交付され,相当期間経過後の約定に係る支払日に,交付された金員の額を上回る額の金員を,前記法人に代わって原債務に係る契約に定められた支払相手先に支払を行った銀行に対し,税務署長が,前記法人に代わって支払った金員から前記法人から交付された金員を控除した差額が,所得税法(平成15年法律第8号による改正前)212条3項所定の「利子等」に当たるとしてした源泉徴収に係る所得税の納税告知処分が,適法とされた事例裁判要旨
1 所得税法2条1項10号にいう「預金」及び同法(平成14年法律第65号による改正前)23条1項にいう「預貯金」とは,民法(平成16年法律第147号による改正前)666条所定の消費寄託の性質を有し,銀行等の金融機関が,預託を受けた金銭を一定期間運用して利益を上げる一方,通常,預金者に対しては,預金を自ら運用することにより収益を上げることの対価として,当座預金を除き,一定の割合の金員(利子)を支払うものであり,具体的な預金契約の内容が民法上の消費寄託契約のみではなく,他の様々な性質の約定が併存するものであっても,銀行その他の金融機関を受寄者として消費寄託された金銭としての性質を有するものは原則として預金である。 2 日本国内に本店を有する法人が発行した社債等の支払債務(以下,「原債務」という。)の履行を引き受けることなどを内容とする契約を締結し,同契約に基づき前記法人から金員を交付され,相当期間経過後の約定に係る支払日に,交付された金員の額を上回る額の金員を,前記法人に代わって原債務に係る契約に定められた支払相手先に支払を行った銀行に対し,税務署長が,前記法人に代わって支払った金員から前記法人から交付された金員を控除した差額が,所得税法(平成15年法律第8号による改正前)212条3項所定の「利子等」に当たるとしてした源泉徴収に係る所得税の納税告知処分について,前記履行引受契約は,銀行が支払日に原債務の履行として金員を支払相手先に支払うという委任契約の性質を有するとともに,同委任契約の基盤となるものとして,銀行が前記法人から金員の寄託を受け,それを一定期間自由に運用して,前記法人から交付された金員とこれに対する支払日までの期間に応じた利息に相当する金員を用意し,支払日に原債務の支払をすることにより,寄託に係る元利金としての金員の返還を了し,前記法人から交付された金員に関する一切の債務を消滅させるという金銭消費寄託契約の性質をも有し,他方,前記差額については,銀行が交付を受けた金員を,約定に係る支払日までの期間運用する一方,前記法人は同期間経過後の支払日に,交付した金員の額を上回る金員の支払を自己に代わってしてもらうのであり,前記法人が利子の支払を受けたものと評価すべきであるから,前記履行引受契約に基づき前記法人から交付された金員は,所得税法2条1項10号にいう「預金」及び同法(平成14年法律第65号による改正前)23条1項にいう「預貯金」に当たり,前記差額は,同項,同法(平成15年法律第8号による改正前)174条1号及び212条3項にいう「利子」に当たるとして,前記納税告知処分を適法とした事例- 裁判所名
- 東京高等裁判所
- 事件番号
- 平成17(行コ)198
- 事件名
- 納税告知処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成16年(行ウ)第13号)
- 裁判年月日
- 平成17年12月21日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 納税告知処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成16年(行ウ)第13号)|平成17(行コ)198
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(所得税法>源泉徴収)
- 請求人が代表者に代わって送金した金員につき代表者に対してその返済を免除した事実は認められないとした事例
- 自己株式の購入価額は適正な価額であるから、資本等の金額のうち取得株式に対応する部分を超える部分については、みなし配当が生じるとした事例
- 所得税法第212条《源泉徴収義務》第3項の「支払」の意義については、これを実質的に解し、現実に金銭を交付する行為のみならず、その支払債務が消滅すると認められる一切の行為を含むものと解するのが相当であるとして、形式的意味における清算人会の決議に基づく必要があるとする請求人の主張を排斥した事例
- 単身赴任者に支給した帰郷交通費は、職務を遂行するための旅行でなく、帰郷に要する交通費の負担を軽減するために支給されたものであるとして、当該単身赴任者に対する給与所得に該当するとした事例
- すべての使用人に対して、雇用されている限り毎年誕生月に支給している誕生日祝金について、その支給形態等が、広く一般に社会的な慣習として行われているとは認められないとして所得税法第28条第1項に規定する給与等に当たるとした事例
- タクシーによる旅客運送業を営む法人について、休日乗務手当、嘱託乗務員の乗務手当の源泉徴収につき、支給額等を認定し、適用税率を是正し、税額を算定した事例
- 海外出向者の帰国後に、当該海外出向者の国外勤務中の給与に係る外国所得税の額を請求人が負担したことについて、居住者に対する経済的利益の供与に当たるとした事例
- ストリップショウの出演者に対する出演料は所得税法204条第1項に規定する報酬又は料金に該当するとした事例
- 請求人が実施した社員旅行は、社会通念上一般的に行われているレクリエーション行事として行われる旅行とは認められないとした事例
- 販売業者の委託により商品の販売契約等の勧誘及び委託販売員の指導業務等を行うマネージャーは外交員に該当するとした事例
- 事業協同組合の組合員の死亡脱退により生じた持分払戻金に含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務があるとした事例
- 請求人が支出した金員は、契約金の支払ではなく、請求人自身の債務を弁済しているにすぎないので、源泉徴収義務はないとして納税告知を取り消した事例
- 請求人が負担した本件慰安旅行の参加従事員1人当たりの費用の額は、平成5年分192,003円、平成6年分449,918円及び平成7年分260,332円と、社会通念上一般的に行われている福利厚生行事としてはあまりにも多額であるから、当該従事員が受ける経済的利益は、給与所得として課税するのが相当とした事例
- 弁護士である破産管財人に支払われた破産管財人報酬は、所得税法第204条第1項第二号に規定する弁護士の業務に関する報酬に該当し、破産者の源泉徴収義務及び納付義務に関する手続は破産管財人が負うものとした事例
- 審査請求人が架空仕入れ等を計上して支出した現金について、審査請求人の代表者に支給した臨時の給与であり、役員賞与に該当すると認定した事例
- 企業支配力を更に強化するために取得した株式の買入価格のうち通常の株式の価額を超える部分は認定賞与にあたらないとした事例
- 合資会社の無限責任社員の死亡退社により生じた持分払戻請求権に含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務を負うとした事例
- 貸付金に係る利息相当額の経済的利益の供与に基づく源泉所得税の納税告知を取り消した事例
- 役職に変動がなくても労働条件等に重大な変動があり、単なる従前の勤務関係の延長とみることはできないとして、退職手当等としての性質を有する給与に該当すると認定した事例(平成24年5月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分・全部取消し・平成26年12月1日裁決)
- 損金に算入した養老保険の保険料相当額が、保険金受取人である従業員に対する給与(経済的利益の共与)に当たるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。