本件各貸付金に係る貸倒損失については、貸倒れの事実が認められず、あるいは当該事業年度以前に貸倒れの事実が生じていたと認められるとして、それを当該各事業年度の損金の額に算入することはできないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2003/02/19 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金] 請求人は、[1]本件甲債権については、平成9年3月期において、事実上回収不能にある債権(法人税基本通達9−6−2)に該当することが確認されたから、同期の損金の額に算入すべきである、[2]本件乙債権及び本件丙債権については、同期又は平成10年3月期において、債務者の死亡及び相続人等の不存在が確認されて法律的に消滅した債権(同通達9−6−1)に該当することとなったから、各期の損金の額に算入すべきである旨主張する。
しかしながら、[1]本件甲債権については、平成9年3月期において、請求人が債務者所有の山林に根抵当権を設定したままであること、当該債権に係る連帯債務者及び連帯保証人が土地等を有していることから、同期において、同債権が回収不能となっていた(貸倒れ)とは認められない、[2]本件乙債権については、死亡した債務者には兄弟姉妹が存在しており、また、債務者の死亡、相続人の不存在は債権の消滅原因でないから、この点に関する請求人の主張には理由がなく、そして、平成9年3月期において、請求人が同債権の債務者の所有地に抵当権を設定したままであり、また、その連帯保証人にその履行を全く求めたことがないことから、同債権が回収不能となっていたとは認められない、[3]本件丙債権については、上記と同様の理由から、法律的に債権が消滅したとする請求人の主張には理由がなく、そして、請求人は、昭和62年に提起した別件民事訴訟に係る請求の趣旨において、本件丙債権の債務者が支払不能の状態にあるとしていたこと、当該債務者は昭和61年5月に自己破産を申立て、それが昭和63年11月に完結していることから、同債権が遅くとも平成元年3月期には回収不能になっていたと認められ、それを平成10年3月期の損金の額に算入することはできないので、請求人の主張には理由がない。
平成15年2月19日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 本件各貸付金に係る貸倒損失については、貸倒れの事実が認められず、あるいは当該事業年度以前に貸倒れの事実が生じていたと認められるとして、それを当該各事業年度の損金の額に算入することはできないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>損金の額の範囲及び計算>寄付金)
- 外国法人からの仕入れ取引は円建てで行われたと認められるから、当該取引の決済により生じた為替差益相当額を過大仕入れによる寄付金と認定した原処分は相当でないとした事例
- 業務の遂行と観光を目的とする海外渡航の航空運賃の全額を損金と認定した事例
- 和解金の支払が剰余金の分配と認められ資本等取引に該当するとして損金の額に算入できないとした事例
- 子会社株式の価額の回復可能性の判断は、将来の回復可能性について判断するのであるから、事業年度終了の時までの当該子会社の業況等や既に行われた事実のみで判断するのではなく、既に具体的に実行することが決定されている事業計画等がある場合には、これについても含めて判断するのが相当であるとして、子会社株式の評価損の計上は認められないとした事例
- いわゆる兄弟会社に対する貸付債権の放棄について寄付金として認定した原処分は相当でないとした事例
- 本件費用は、請求人がその支払日等を具体的に明らかにしないことから損金の額に算入できないとした事例
- 請求人が代表者個人から引き継いだとする借入金等に係る支払利息について、その一部は損金の額に算入されるとした事例
- 特定の政治団体の中傷行為等を排除するためにやむなく支出した金員は交際費ではなく寄付金に該当するとした事例
- 請求人がその子会社に対する売上値引及び売買損失として損金経理した金額は、いずれも子会社に対する経済的利益の無償の供与であり、寄付金の額に該当するとした事例
- 寄付金と認定されたいわゆる姉妹会社の清算に伴う支出金額についてその一部は寄付金に該当しないとした事例
- 分譲マンションの建設用地について、本件土地を含む地域が地すべり防止区域に指定されたこと及びおよそ300離れた同様の傾斜地で土砂崩れがあったことは、評価損が損金に算入される法人税法施行令第68条第1号ニの「準ずる特別の事実」に該当しないとした事例
- 再生計画により免責された債務(部分)について、連帯保証人が保証債務を履行した場合でも、主たる債務者は連帯保証人に対し求償債務を負担しないことから、損金算入は認められないとした事例
- 請求人が非上場株式を関係会社の代表者に対して額面金額で譲渡した価額は、通常取引価額に比べ低額であるから、その価額と譲渡価額との差額は寄付金であると認定した事例
- 経営状態が悪化したことを理由とする子会社に対する経済的利益の供与は寄付金に当たると認定した事例
- 紛争を回避するために支払う金員は当該紛争を回避することにより利益を受ける者が負担すべきであるところ、請求人が支払手数料名目で支払った金員は受注先が紛争を回避するための支出であって請求人が負担すべき費用ではないから、受注先への経済的利益の供与であり、寄付金に該当するとした事例
- 請求人が債権を放棄した時点において、債務者は70パーセント完成した建物を有しており、その処分につき請求人を含めて協議中であったから、当該債権が回収不能であったとは認められないとした事例
- 本件土地の譲渡価額と時価との差額が生ずることについて合理的な理由があるとは認められないから、その差額は寄付金に該当するとした事例
- 請求人と株主を同じくする関連会社に対する貸付金の利息免除について寄付金に該当しないとした事例
- 外国子会社に対する業務委託費として経費に計上した金員は、外国子会社に対する資金援助に当たり、寄附金と認定された事例
- 請求人の主張する借入金は存在しないから、支払手数料勘定に計上した支払金(支払利息)は損金に算入できず、コンサルティングフィ、ロイヤリティについても、損金算入を認めなかった事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。