請求人が損金の額に算入したグループ法人に対する業務委託料は、当該グループ法人に対する資金援助を仮装して計上されたものであり、対価性がなく寄附金の額に該当するとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2011/08/23 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金]《ポイント》 この事例は、グループ法人に対する各業務委託料は、当該各業務委託料に係る各契約に基づく役務提供が認められないこと及び委託先法人に対する貸付債権と相殺されていることから、グループ法人に対して債務を消滅させる経済的利益の無償の供与と判断し、グループ法人への貸付金には該当しないと判断したことにより、原処分のうち、貸付金としてその利息を計上すべきとした部分を取り消したものである。
《要旨》 請求人は、グループ法人との間で締結した各業務委託契約に基づく業務は行われているから、費用計上した各業務委託料は損金の額に算入されるべきである旨主張し、原処分庁は、当該契約は実体のない架空の業務委託契約であり、当該各委託料は請求人の会長が実質支配するグループ法人への貸付金等であるとした上、当該貸付けに係る利息相当額は益金の額に算入すべきである旨主張する。
当該各委託料は、役務提供の有無にかかわらずに支払われている対価性のないものであること当該各委託料がグループ法人に対する貸付債権と相殺されていることからすると、その計上額は、請求人がグループ法人に対して債務消滅という経済的利益を無償で供与したこととなり、法人税法第37条《寄附金の損金不算入》第7項に規定する寄附金の額に該当すると認めるのが相当である。
したがって、請求人の主張には理由がなく、また、当該各委託料が貸付金に当たるとして利息相当額を益金の額に算入すべきであるとする原処分庁の主張にも理由がない。
《参照条文等》 法人税法第22条、第37条
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が損金の額に算入したグループ法人に対する業務委託料は、当該グループ法人に対する資金援助を仮装して計上されたものであり、対価性がなく寄附金の額に該当するとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>損金の額の範囲及び計算>寄付金)
- 特定の政治団体の中傷行為等を排除するためにやむなく支出した金員は交際費ではなく寄付金に該当するとした事例
- 請求人が子会社支援損とした同社に対する貸付債権の放棄額は、寄附金に該当するとした事例
- 国内事業に関して発生した為替差益の付替え相当額は、親会社との契約に基づき同社に帰属すべきものであるから、国内事業の所得の計算上損金の額に算入されるべきであるとの請求人の主張を排斥した事例
- 請求人が財団法人に対して支出した本件出捐金は基本財産とすることを指定して支出したものであるから、寄付金に該当するとした原処分が適法とされた事例
- 外国法人からの仕入れ取引は円建てで行われたと認められるから、当該取引の決済により生じた為替差益相当額を過大仕入れによる寄付金と認定した原処分は相当でないとした事例
- 手形交換所において取引停止処分を受けた取引先が妻名義で振り出した手形は債権償却特別勘定の対象となるとした事例
- 架空外注費と認定した事例
- 同業数社間で締結している拠出金還元金規約に基づく拠出金について寄付金と認定した事例
- 再生計画により免責された債務(部分)について、連帯保証人が保証債務を履行した場合でも、主たる債務者は連帯保証人に対し求償債務を負担しないことから、損金算入は認められないとした事例
- 外注費として支出した工事代金等につき対価性がなく寄附金に該当するとした原処分の一部を取り消した事例
- 事業を引き継いだ法人が支出した立替金の利息相当額は寄付金ではなく仮払金に該当するとした事例
- 債権償却特別勘定の設定は認められないとした事例
- 子会社株式の価額の回復可能性の判断は、将来の回復可能性について判断するのであるから、事業年度終了の時までの当該子会社の業況等や既に行われた事実のみで判断するのではなく、既に具体的に実行することが決定されている事業計画等がある場合には、これについても含めて判断するのが相当であるとして、子会社株式の評価損の計上は認められないとした事例
- 債務保証契約に基づく保証債務の履行に伴う損失が寄付金に当たるとした事例
- 預託金制ゴルフ会員権の取引価額が取引市場において単に下落したことは、資産の評価損の計上ができる場合には当たらないとした事例
- 同族会社の元社長の死亡の際に支出した弔慰金等の雑損失計上を相当と認めた事例
- 債務保証契約に基づく保証債務の弁済額について損金算入を認容した事例
- 業務の遂行と観光を目的とする海外渡航の航空運賃の全額を損金と認定した事例
- いまだ履行していない保証債務については貸倒れとしてこれを損金の額に算入する余地はないとした事例
- 用船の転貸先から要求された損害賠償金は損金算入すべきであるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。