子会社に対する仕入れの値増し金は当該子会社の資金不足を補うための資金供与としての寄附金であると認定した事例
裁決事例(国税不服審判所)
2013/07/05 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金]《要旨》 原処分庁は、請求人の中国の子会社への送金(本件送金)は、請求人と当該子会社との間の金銭消費貸借契約に基づく貸付けである旨主張し、請求人は、本件送金に係る金員は、当該子会社からの仕入れに係る値増し金であって損金の額に算入されるものであり、仮に、本件送金が経済的利益の無償の供与等とされる場合であっても、合理的な経済目的に基づいて行ったものであるから寄附金には該当しない旨主張する。
しかしながら、請求人及び当該子会社が金銭消費貸借契約書を作成したことは、請求人が中国の外貨管理局の許可を得て当該子会社に必要な資金を送付するために、金銭消費貸借契約の形式を採用したにすぎないと認められ、請求人と当該子会社との間に当該金銭消費貸借契約に基づく貸付けがあったと認めることはできず、一方、本件において作成された値増しに係る合意書及び覚書に記載された値増し金の算定根拠によれば、本件送金は、当該子会社の為替差損、諸経費の増加、裁判費用、建物の補修費及び赤字補填のために行われたとみるのが相当であり、親会社である請求人が、資金不足に陥った当該子会社に対し、金銭の贈与(本件金銭贈与)を行ったものと認めるのが相当である。そして、本件金銭贈与がなければ当該子会社が倒産する状況にあったとは認められないから、本件金銭贈与が当該子会社の倒産を防止するなどのためにやむを得ず行われたものとはいえず、また、合理的な再建計画に基づくものであるなど、本件金銭贈与をしたことについて、相当な理由があるとは認められないから、本件金銭贈与の額は、租税特別措置法第66条の4《国外関連者との取引に係る課税の特例》第3項に規定する寄附金の額に該当し、その全額が損金の額に算入されない。
《参照条文等》 国税通則法第68条 法人税法第37条 租税特別措置法第66条の4
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 子会社に対する仕入れの値増し金は当該子会社の資金不足を補うための資金供与としての寄附金であると認定した事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>損金の額の範囲及び計算>寄付金)
- 寄付金と認定されたグループ3社の共同社員旅行に係る請求人の負担額は、著しく合理性を欠く配分によるものであるとは認められないから、その全額が福利厚生費として損金の額に算入されるのが相当であるとした事例
- 取引先に支払ったとする販売手数料は費途不明であるとはいえないとした事例(平18.10.1〜平23.9.30の各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平18.10.1〜平23.9.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し、棄却・平成26年7月28日裁決)
- 請求人が本件退職金を支出したのは、新出資者が支払うべき本件出資持分の譲受代金の一部を負担した行為に当たるから、本件退職金は新出資者に対する寄付金と認めるのが相当であるとした事例
- 公益法人等が収益事業から公益事業へ支出した金額につき、これと見合う金額を元入金として受け入れているときは、いわゆるみなし寄付金に当たらないとした事例
- 水産物地方卸売市場に出荷し歩戻しを受ける特定荷主に係る営業権の譲受け対価を事後に修正し追加払した場合、当該金員は営業権の対価とは認められず、寄付金に当たるとした事例
- 特定の政治団体の中傷行為等を排除するためにやむなく支出した金員は交際費ではなく寄付金に該当するとした事例
- 和解金の支払が剰余金の分配と認められ資本等取引に該当するとして損金の額に算入できないとした事例
- 本件費用は、請求人がその支払日等を具体的に明らかにしないことから損金の額に算入できないとした事例
- 請求人が業務委託費の精算されていない費用として国外関連者に支払った金員は、国外関連者の欠損を補てんするための寄附金であるとした事例
- 簿外のたな卸資産に係る評価損については、所定の評価換え及び損金経理がなされていないから、その損金算入は認められないとした事例
- 業務の遂行と観光を目的とする海外渡航の航空運賃の全額を損金と認定した事例
- 本件土地の譲渡価額と時価との差額が生ずることについて合理的な理由があるとは認められないから、その差額は寄付金に該当するとした事例
- 分譲マンションの建設用地について、本件土地を含む地域が地すべり防止区域に指定されたこと及びおよそ300離れた同様の傾斜地で土砂崩れがあったことは、評価損が損金に算入される法人税法施行令第68条第1号ニの「準ずる特別の事実」に該当しないとした事例
- 請求人が債権を放棄した時点において、債務者は70パーセント完成した建物を有しており、その処分につき請求人を含めて協議中であったから、当該債権が回収不能であったとは認められないとした事例
- 鋼板加工販売業を営む請求人の元代表者(故人)の個人的な借入金を請求人が肩代わりしたことによる本件借入金に係る支払利息等の額については、これを請求人の経費として損金の額に算入することはできず、元代表者の相続人に対する寄付金と認めるべきであるとした事例
- 預託金制から株式制に転換されたゴルフ会員権(株式)について、1株当たりの純資産価額には著しい下落は認められないとして株式の評価損の計上を認めなかった事例
- 請求人が非上場株式を関係会社の代表者に対して額面金額で譲渡した価額は、通常取引価額に比べ低額であるから、その価額と譲渡価額との差額は寄付金であると認定した事例
- いまだ履行していない保証債務については貸倒れとしてこれを損金の額に算入する余地はないとした事例
- 紛争を回避するために支払う金員は当該紛争を回避することにより利益を受ける者が負担すべきであるところ、請求人が支払手数料名目で支払った金員は受注先が紛争を回避するための支出であって請求人が負担すべき費用ではないから、受注先への経済的利益の供与であり、寄付金に該当するとした事例
- 請求人が財団法人に対して支出した本件出捐金は基本財産とすることを指定して支出したものであるから、寄付金に該当するとした原処分が適法とされた事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。