請求人が財団法人に対して支出した本件出捐金は基本財産とすることを指定して支出したものであるから、寄付金に該当するとした原処分が適法とされた事例
[法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1999/12/22 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金] 請求人は、振興協会に対する出捐金について、[1]振興協会は請求人らが便益を受けるために出捐金を支出して設立した財団法人であること、[2]振興協会の事業のすべてが請求人らが便益を受ける事業であり、振興協会が存続する限り、その事業から、請求人らは便益を受けるものであることから、本件出捐金は自己が便益を受けるために支出する費用で、その支出の効果が支出の日以後1年以上に及ぶものと認められるので、繰延資産に該当する旨主張する。
しかしながら、本件出捐金は、請求人の臨時総会の決議を経て任意に拠出されたものであること、一定の公益目的のために提供される財産である公益法人の基本財産とすることを指定して拠出され、基本財産として組み入れられていることが認められる。
さらに、振興協会の基本財産は、原則として処分し、又は担保に供することができず、解散時においても請求人に返還されないこと、振興協会の行う事業は、基本財産以外の財産である運用財産によって運営されることが認められる。また、請求人が本件出捐金の拠出によって振興協会から特別の利益を受けるとも認められない。
したがって、本件出捐金の拠出は、請求人から振興協会に対してなされた金銭の贈与に当たり、本件出捐金は法人税法第37条第6項に規定する寄付金となり、繰延資産には該当しない。
平成11年12月22日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が財団法人に対して支出した本件出捐金は基本財産とすることを指定して支出したものであるから、寄付金に該当するとした原処分が適法とされた事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>損金の額の範囲及び計算>寄付金)
- 請求人の費用計上に取引先との通謀や水増しがなく、過大に計上していないとした事例
- 公益法人等が収益事業から公益事業へ支出した金額につき、これと見合う金額を元入金として受け入れているときは、いわゆるみなし寄付金に当たらないとした事例
- 取引先に支払ったとする販売手数料は費途不明であるとはいえないとした事例(平18.10.1〜平23.9.30の各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平18.10.1〜平23.9.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し、棄却・平成26年7月28日裁決)
- 鋼板加工販売業を営む請求人の元代表者(故人)の個人的な借入金を請求人が肩代わりしたことによる本件借入金に係る支払利息等の額については、これを請求人の経費として損金の額に算入することはできず、元代表者の相続人に対する寄付金と認めるべきであるとした事例
- 外国子会社に対する業務委託費として経費に計上した金員は、外国子会社に対する資金援助に当たり、寄附金と認定された事例
- 運送業を営む請求人が損金に計上したいわゆるバッタ屋からの燃料費及びタイヤ購入費を架空経費であるとして認めなかった事例
- 分譲マンションの建設用地について、本件土地を含む地域が地すべり防止区域に指定されたこと及びおよそ300離れた同様の傾斜地で土砂崩れがあったことは、評価損が損金に算入される法人税法施行令第68条第1号ニの「準ずる特別の事実」に該当しないとした事例
- 法人が事業の用に供している資産の取得について生じた紛争の解決のために支出した金額は偶発的に生じた損害金と認定した事例
- 経営状態が悪化したことを理由とする子会社に対する経済的利益の供与は寄付金に当たると認定した事例
- 簿外のたな卸資産に係る評価損については、所定の評価換え及び損金経理がなされていないから、その損金算入は認められないとした事例
- いまだ履行していない保証債務については貸倒れとしてこれを損金の額に算入する余地はないとした事例
- 債権償却特別勘定の設定は認められないとした事例
- 請求人が財団法人に対して支出した本件出捐金は基本財産とすることを指定して支出したものであるから、寄付金に該当するとした原処分が適法とされた事例
- 本件土地の譲渡価額と時価との差額が生ずることについて合理的な理由があるとは認められないから、その差額は寄付金に該当するとした事例
- 再生計画により免責された債務(部分)について、連帯保証人が保証債務を履行した場合でも、主たる債務者は連帯保証人に対し求償債務を負担しないことから、損金算入は認められないとした事例
- 同業数社間で締結している拠出金還元金規約に基づく拠出金について寄付金と認定した事例
- 請求人が損金の額に算入したグループ法人に対する業務委託料は、当該グループ法人に対する資金援助を仮装して計上されたものであり、対価性がなく寄附金の額に該当するとした事例
- 請求人が業務委託費の精算されていない費用として国外関連者に支払った金員は、国外関連者の欠損を補てんするための寄附金であるとした事例
- 固定資産である本件土地は1年以上遊休状態にあったが、そのことにより価額が低下した事実は認められないため、本件評価損の損金算入は認められないとした事例
- 請求人がその子会社の債務超過などを理由として売掛金及び貸付金を放棄したことは、いずれも子会社に対する経済的な利益の無償の供与であり、寄付金の額に該当するとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。