配当処分に係る審査請求は、不服申立期限である換価代金等の交付期日を徒過してなされたものであるが、換価代金等の交付期日について原処分庁がその期間を短縮したことは適法とはいえないとして、配当計算書謄本受領後早期になした審査請求を適法なものとして扱うのが相当であるとした事例
[租税特別措置法][登録免許税法の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2006/05/09 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 本件配当処分は平成17年11月7日に行われているところ、換価代金等の交付期日は国税徴収法(以下「徴収法」という。)第132条第2項ただし書の規定に基づき平成17年11月7日に短縮されている。したがって、本件配当処分に係る審査請求は、同法第171条第1項第4号に規定する換価代金等の交付期日後の同月10日であることから、不服申立ての期限を徒過している。
しかし、徴収法第132条第2項ただし書が期間の短縮を認めているのは、配当を受ける者等が差押権者、交付要求権者及び滞納者のみである場合には、特に異議を申し立てるのに必要な事項を調査するための期間をおく必要がないことから、行政庁の裁量によりその期間を短縮することを認めることとしたものであり、交付要求権者や滞納者の不服申立ての機会を奪うものではない。したがって、その短縮する期間は、これらの者が不服申立てをするのに必要な期間が保障されていることを要すると解するべきである。
これを本件についてみると、配当計算書の作成日と同日を換価代金等の交付期日としていることから、その交付期日は、滞納者の不服申立ての機会を奪うものといわざるを得ず、徴収法第132条第2項の趣旨からもはや適法な短縮とはいいがたく、手続的違法が認められる。そして、審査請求人は、配当計算書の謄本を受領後、早期に審査請求をしていることが認められる。
したがって、本件配当処分に対する審査請求は、これを適法なものと扱うのが相当である。
平成18年5月9日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 配当処分に係る審査請求は、不服申立期限である換価代金等の交付期日を徒過してなされたものであるが、換価代金等の交付期日について原処分庁がその期間を短縮したことは適法とはいえないとして、配当計算書謄本受領後早期になした審査請求を適法なものとして扱うのが相当であるとした事例
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