請求人は、原処分庁に対して、信義則上、請求人が滞納会社と別異の法人格であることを主張して被差押債権の帰属を争うことができないとした事例
[租税特別措置法][登録免許税法の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2007/03/30 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 請求人は、原処分庁が被差押債権は滞納会社に帰属するものであるとして行った債権差押処分に対して、自社が被差押債権の帰属主体であることを主張する。
しかしながら、会社が法令の規定に準拠して比較的容易に設立され得ることに乗じ、取引の相手方からの債務履行請求手続を誤らせ時間と費用とを浪費させる手段として、旧会社の営業財産をそのまま流用し、商号、代表取締役、営業目的、従業員などが旧会社のそれと同一の新会社を設立したような場合には、形式的には新会社の設立登記がなされていても、新旧両会社の実質は前後同一であり、新会社の設立は旧会社の債務の免脱を目的としてなされた会社制度の濫用であって、このような場合、会社は、この取引の相手方に対し、信義則上、新旧両会社が別人格であることを主張できず、相手方は、新旧両会社のいずれに対しても上記債務についてその責任を追及することができると解されている。
したがって、いわゆる支配要件と目的要件の2つの要件を満たした場合には、信義則上、新会社は、債権者に対して旧会社とは別人格であることを主張できないと解するのが相当である。
そして、本件においては、請求人について上記2つの要件をいずれも満たすと認められることから、請求人は、原処分庁に対して、信義則上、請求人が本件滞納会社とは別異の法人格であることを主張し、本件各債権を自己の財産であって本件滞納会社の財産ではないと主張することは許されないというべきである。
平成19年3月30日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人は、原処分庁に対して、信義則上、請求人が滞納会社と別異の法人格であることを主張して被差押債権の帰属を争うことができないとした事例
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