請求人が滞納法人から、不動産売買に係る仲介手数料に相当する債務の免除を受けたとは認められないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2010/11/25 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 原処分庁は、請求人と本件滞納法人との間における不動産の売買を仲介した仲介業者が、請求人分の仲介手数料(本件仲介手数料)として金員を受領し、請求人あての領収証が発行されているところ、当該金員は本件滞納法人が自ら調達した金員により支払われたものであるから、請求人に本件滞納法人に対する本件仲介手数料に相当する債務が発生し、同時に、本件滞納法人が当該債務を免除した旨主張する。
しかしながら、上記不動産の売買契約においては、請求人が支払わなければならない当該不動産の代価や仲介手数料を含む売買に関して生ずる請求人が負担すべき一切の費用は、請求人が上記不動産の購入資金として借り入れた金員から賄われるべきものであったと認めるのが相当であり、本件滞納法人が本件仲介手数料を自ら調達した金員で支払ったのは、請求人が上記不動産の購入資金として借り入れた金員の中から本件仲介手数料が支払われるべきところ、請求人が当該不動産の購入資金として借り入れた金員から借入れに伴う事務手数料や登記費用等を控除した金額の全額が請求人の普通預金口座から上記不動産の抵当権者の普通預金に直接振り替えられたため、本件仲介手数料の支払に充てることができなくなったことによるものと認められる。
したがって、請求人が負うべき本件仲介手数料の支払債務を本件滞納法人が履行したと認めることはできず、そうすると、本件滞納法人には請求人に対する本件仲介手数料に相当する額の返還請求権は発生せず、それを無償放棄することもあり得ないのであるから、請求人が本件滞納法人から本件仲介手数料に相当する債務の免除を受けたと認めることはできない。
《参照条文等》 国税徴収法第39条
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