事前通知に関し調査の単位を明らかにした事例(平成22年分〜平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平成26年11月13日裁決)
裁決事例(国税不服審判所)
2014/11/13 [租税特別措置法][登録免許税法の特例]《ポイント》 本事例は、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》の調査は税目と課税期間によって特定される納税義務に係る調査を一の調査とみるべきであることを明らかにしたものである。
《要旨》 原処分庁は、請求人に対し、平成24年中に平成21〜23年分の所得税の調査(当初調査)を開始しているところ、平成24年分の調査は、当初調査の対象年分に追加したものであるから、平成25年1月1日前から引き続き行われている調査に該当し、経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律の附則第39条《当該職員の質問検査等に関する経過措置》第3項の規定により、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項の適用はない旨主張し、一方、請求人は、平成24年分の調査は、改正国税通則法施行後に開始されたものであり、同法第74条の9第1項の事前通知が必要であったにもかかわらず、調査担当職員は、電話で「平成24年分の調査を行います。」とのみ通知しただけで、その後においても、改正後の国税通則法に則って通知が行われていないことから、平成24年分の調査は必要な手続要件を満たしておらず、違法である旨主張する。
しかしながら、調査は、納税義務者について税目と課税期間によって特定される納税義務に関してなされるものであるから、当該納税義務に係る調査を一の調査とみるべきであり、請求人に対する平成24年分の調査は、独立した一の調査となり、平成25年1月1日前から引き続き行われている調査には該当せず、国税通則法第74条の9第1項の適用があると認められる。一方、調査担当職員は、調査の対象税目及び調査の対象期間に加えて、調査の開始時期、調査の場所、調査の目的及び調査の対象となる帳簿書類を請求人に対し通知していると認められ、請求人に対して平成24年分の所得税の調査を行う旨の通知しか行われていないとはいえない。そうすると、平成24年分の調査の事前通知については、国税通則法第74条の9第1項の適用があるところ、調査担当職員は、同条同項の規定に沿った事前通知を行っており、調査手続に違法とすべき点はない。
《参照条文等》 国税通則法第74条の9
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