被差押債権の第三債務者は、当該差押処分に対して審査請求ができる法律上の利益を有しないとして審査請求を却下した事例
[租税特別措置法][登録免許税法の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2002/12/04 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 請求人は、滞納処分による債権の差押えに対して、[1]滞納者に対して被差押債権を超える債権を有しているので相殺すべきであること、[2]差押えの前に本件債権を元従業員に譲渡したとする債権譲渡通知書が届き、当該債権譲渡は本件差押処分に先行するから滞納者に対する債務が存在しない旨主張して差押処分の取消しを請求する。
しかしながら、差押処分等の国税に関する処分に対し、審査請求ができる者は、その処分の取消しを求めることに法律上の利益を有する者に限られると解されている。本件差押処分によって、国は滞納者に代わって債権者の立場に立つにとどまり、国と第三債務者たる請求人との関係は、私法上の債権者、債務者という関係にすぎないことになる。
そうすると、請求人が任意に当該債務を履行しない場合は、国は、民事訴訟法に定める手続により被差押債権に係る債務名義を得たうえで、強制執行の手続を踏むほかはなく、請求人は、国が被差押債権取立てのための訴えを提起したときには、当該債務の不存在等差押え前から滞納者に対して有する一切の抗弁を主張して対抗することができるのであるから、債権者が滞納者から国に交代したことに伴い、法律上の不利益を受けることはない。
したがって、被差押債権に係る債務が存在しないことを理由として本件差押処分の取消しを求める本件審査請求は、法律上の利益を欠いた不適法なものである。
平成14年12月4日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 被差押債権の第三債務者は、当該差押処分に対して審査請求ができる法律上の利益を有しないとして審査請求を却下した事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(租税特別措置法>登録免許税法の特例)
- 国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」に該当しないとした事例
- 債権譲渡の通知がされた債権を差し押さえた後、譲渡担保財産であるとして譲渡担保権者に対してした告知処分が適法とされた事例
- 不動産賃貸業を営む請求人が賃借人から敷金及び建設協力金の返還義務を免除されたことが、国税徴収法第39条の無償譲渡等の処分に当たらないとした事例
- 滞納処分により差し押さえた預託金会員制ゴルフ会員権の換価(取立て)等のため必要があるとして、譲渡担保契約に基づき同会員権に関する入会保証金証書を占有する請求人に対してされた同証書の引渡命令は適法であるとした事例
- 売上げの一部を隠ぺいしたことにより過大に繰り越された欠損金額があった場合には、これを損金の額に算入した事業年度において事実の隠ぺい又は仮装があったことになるとした事例
- 法定申告期限から3年を経過した日以後になされた過少申告加算税の賦課決定は正当であるとした事例
- 残余財産の分配の事実を認めることができないとした事例
- 課税土地譲渡利益金額の計算上控除される譲渡経費の算定方法につき、確定申告において概算法を採用したときには、後日、実額配賦法を採用して更正の請求をすることはできないとした事例
- 遺産分割協議の無効確認を求めて訴訟中であることを理由に、当該遺産分割に基づく相続税の滞納のためにした請求人の固有財産に対する差押処分の取消しを求めることはできないとした事例
- 相続税の延納担保財産の差押えが適法であるとした事例
- 滞納者が請求人に対してした離婚に伴う財産分与及び子の監護費用分担額の一時の支払につき、不動産を給付した上で保有し得た財産の2分の1に相当するまでの金額については、不相当に過大と認めることはできないが、これを超える部分については、不相当に過大なものとして国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等処分に該当するとした事例
- 債権を目的とする質権の設定承諾請求書に当該債権の債務者が記名押印して承諾したことは認められるものの、当該請求書に確定日付が付されていないから、質権者である請求人は当該債権を差し押さえた原処分庁に対抗することができないとした事例
- 国税通則法第46条第2項第4号の「事業につき著しい損失を受けたこと」に該当する事実の有無は、一定期間における損益計算を行うことにより判定することが相当であり、生活費等を控除して利益金額を算定すべきとする請求人の主張は採用できないとした事例
- 預託金会員制ゴルフクラブの会員権証書の担保権者に対する引渡命令が適法であるとされた事例
- 使用人の詐取行為における隠ぺい、仮装行為について、請求人自身の行為と同視することはできないとした事例
- 再公売に係る公売財産の見積価額の決定は適正であるとした事例
- 滞納者の預金口座から出金された金銭が請求人の預金口座に入金されたことは、国税徴収法第39条の無償譲渡には該当しないとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・全部取消し・平成26年1月7日裁決)
- 滞納処分により差し押さえられた滞納会社の代表者名義の預託金制ゴルフ会員権につき、取得資金の全額が滞納会社の資金により支払われていること、滞納会社の決算報告書に本件会員権が資産として計上されていること等から、滞納会社に帰属すると認めるのが相当である等とした事例
- 請求人の代表取締役として実質的に経営の主宰者と認められる者の行った売上金額の除外、個人名義預金等への留保は、請求人の隠ぺい又は仮装行為と同視すべきであるとした事例
- 相続税法第32条第3号に規定する更正の請求をすることができる期間の起算日は、遺留分減殺請求訴訟の和解が成立した日であり、適法な期間内に提出された更正の請求を前提とした同法第35条第3項第1号の規定に基づく原処分も適法であるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。