請求人の取締役営業部長が行った架空仕入れは、国税通則法第70条第5項の「偽りその他不正の行為」に該当するとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2010/12/01 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 請求人は、取締役営業部長が行った架空仕入れが請求人の行為とみなされたとしても、請求人は、仕入先が請求人に対して正規の請求書で請求を行ってきたことから、その請求に基づいて仕入代金の決済を行ったのであり、本件各事業年度等に係る各確定申告書を税額を免れる意図をもって提出したものではないから、国税通則法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第5項の規定の適用はない旨主張する。
しかしながら、国税通則法第70条第5項の趣旨は、「偽りその他不正の行為」を行った者への制裁を目的としたものではないから、納税者の補助者又は代理人によるものであっても、納税義務の確定手続において客観的に「偽りその他不正の行為」によって税額を免れた事実が存在する場合には、納税者が具体的な偽りその他不正の行為を意図し、又は指示したか否かを問うことなく、同項の規定の適用があると解すべきであり、「偽りその他不正の行為」とは、税の賦課徴収を不能又は困難にするような何らかの偽計その他の工作を伴う不正な行為を行っていることと解される。
請求人の取締役営業部長が行った架空仕入れに係る各行為は、税の賦課徴収を困難とする偽計その他の工作を伴う不正な行為といえ、請求人はこれにより、虚偽の事実が記載された会計帳簿等に基づき、本件各事業年度等に係る確定申告をしていたことになるから、請求人が不正の行為を認識していたか否かにかかわらず、請求人の納税義務の確定手続において、客観的に偽りその他不正の行為によって税額を免れた事実が存在するといえる。
《参照条文等》 国税通則法第70条第5項
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人の取締役営業部長が行った架空仕入れは、国税通則法第70条第5項の「偽りその他不正の行為」に該当するとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(租税特別措置法>登録免許税法の特例)
- 未払金に計上した退職金は架空であるとして重加算税の賦課決定を相当であるとした事例
- 職務に直接関与しない清算人に対する第二次納税義務の告知処分について適法であるとした事例
- 住民票を異動したり、郵便受箱を撤去するなどした行為は、通知書の送達を回避することを意図してなされたものであり、請求人の住所は本件住所にあるとして、差置送達の効力を認めた事例
- 請求人の常務取締役として経営に参画し、担当部門に係る取引全般を総括的に委任されている者の行った仕入金額の架空計上は、たとえそれを請求人の代表者が知らなかったとしても、請求人の隠ぺい又は仮装行為と同視すべきであり、重加算税の賦課決定は適法であるとした事例
- 国税通則法第38条第1項各号に掲げる繰上請求事由があるときは、納税の猶予申請に係る国税がその猶予期間内に完納されることが確実であるとか、当該国税の徴収確保の上で全く支障がないなどの特段の事情がない限り、納税の猶予は認められないとした事例
- いわゆる「つまみ申告」が国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい仮装行為に該当するとした事例
- 更正の違法を理由として参加差押えの取消しを求めることはできないとした事例
- 滞納会社の家賃収入計上漏れ等により生じた簿外の金員を取得した代表者に対する第二次納税義務の告知処分は相当であるとした事例
- 国税の収納機関たる日本銀行歳入代理店となっている金融機関の窓口で納税資金を預金口座から引き落として当該代理店に納付手続を依頼した日と当該金融機関が収納手続をした日が相違する場合、収納手続をした日が納付日であるとした事例
- 請求人が行った屋号による取引は仮名取引であり、当該取引を収入金額とせず過少に納税申告書を提出していた事実は、重加算税の賦課要件を満たすとした事例
- 出張日の記載のない請求書に基づいて計上した旅行費用について、事実の仮装は認められないとした事例
- 国税通則法第65条第4項にいう「正当な理由があると認められるものがある場合」には、過少に税額を申告したことが納税者の税法の不知又は誤解であるとか、納税者の単なる主観的な事情に基づくような場合までを含むものではないとした事例
- 土地処分益計上の期ずれにより前年度分が減額更正、後年度分が増額更正となった場合、前年度分の過誤納金を後年度分の延滞税に充当したことは適法であるとした事例
- 粉飾決算の修正に伴う既往年度の申告に係る減額更正について除斥期間の特例の適用要件に該当する事実は認められないとした事例
- 滞納者の破産手続開始決定後に行われた滞納者を譲渡担保設定者とする譲渡担保債権についての滞納処分が破産法第43条第1項の規定に反しないとした事例
- 法人税法犯則事件の判決は国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」に該当しないとした事例
- 一人の扶養親族につき、重複して扶養控除を受けている事実を知ることができなかったとしても、それは請求人の単なる主観的な事情であるから、国税通則法第66条第1項の正当な理由があると認められる場合に当たらないとした事例
- 建造引当権に関する国税庁長官通達は、法令にない取扱いを新たに示したものとすることはできず、法令の不知、誤解は通則法第65条第4項の「正当な理由」があるとは認められず、調査担当者の具体的な指摘前に修正申告をしたとしても同法第65条第5項に該当しないとした事例
- 期限後申告書の提出は決定があることを予知してなされたものではないとした事例
- 税務署における資料の調査により請求人の給与所得の申告が漏れているものと判断した上で、尋ねたい事項や持参を求める書類を具体的に明記した文書を送付するなどの一連の過程から、国税通則法第65条第5項の「調査」があったと判断した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。