請求人の取引先8社との16の取引について、本件事業年度中に納品あるいは役務の提供がなされておらず、また、請求人の各担当者は、その事実を承知した上で、経費等の根拠となる納品書、請求書等の発行を取引先に依頼し、これを提出させ、あたかも本件事業年度中に納品等を行ったごとく装ったものであり、当該担当者の積極的な行為によって故意に事実を仮装したものであるとした事例
[租税特別措置法][登録免許税法の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1998/12/02 [租税特別措置法][登録免許税法の特例]重加算税を課すには、課税標準又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺい、仮装を原因として過少申告の結果が発生したものであれば足り、それ以上に申告に際し、納税者において過少申告を行うことの認識を有していることまでを必要とするものではないと解するのが相当である。
本件各取引において、請求人の購買手続、納品書及び請求書の発行手続についての商慣行等に照らせば、当該担当者が行為の意味を認識していなかったとは到底認められず、むしろ、当該担当者の積極的な行為によって故意に事実を仮装したものと認めるのが相当である。
隠ぺい又は仮装の行為者については、納税者本人の行為に限定すべき理由はないから、広くその関係者の行為を含むとしても違法ではなく、従業員の自らの利得を目的として行われた隠ぺい又は仮装による過少申告のような場合はともかくとして、納税者の簿外資産等を蓄積するために売上金額を除外して仮名預金を設けたり、納税者の利益調整のために棚卸資産を仮装して簿外棚卸資産を作出するような従業員の行為については、納税者本人の行為と同視すべきであると解するのが相当である。
本件各取引に係る隠ぺい、仮装行為は、納品書等を取引先に作成させる等の方法により、所得金額の計算上、架空の損金を作出して請求人の利益を調整する結果となっていることからすれば、各担当者の行為は請求人の行為と同視すべきであり、本件取引から生じた過少申告の責任は請求人が負うべきである。
平成10年12月2日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人の取引先8社との16の取引について、本件事業年度中に納品あるいは役務の提供がなされておらず、また、請求人の各担当者は、その事実を承知した上で、経費等の根拠となる納品書、請求書等の発行を取引先に依頼し、これを提出させ、あたかも本件事業年度中に納品等を行ったごとく装ったものであり、当該担当者の積極的な行為によって故意に事実を仮装したものであるとした事例
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