請求人が、当初から所得を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2012/02/14 [租税特別措置法][登録免許税法の特例]《要旨》 原処分庁は、請求人が平成19年分の所得税について無申告であったことにつき、eワラント取引に係る申告義務及び申告方法について熟知していたにもかかわらず、請求人の夫において申告していない夫自身のeワラント取引による利益を原資として請求人個人のeワラント取引を開始し、eワラント取引について、損失が生じた場合にのみ所得税の申告をし、利益が生じた場合には申告をしていないこと及びeワラント取引に係る取引残高報告書等を保存せず散逸するに任せていたことは、当初から所得を申告しないことを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったものと認められるから、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たる旨主張する。
しかしながら、上記については、請求人のeワラント取引に関する認識を直接に示す事情ではなく、上記については、請求人は、平成20年分の所得税については、eワラント取引から生じた利益を法定申告期限までに申告しているのであるから、請求人がeワラント取引によって損失が生じた場合にのみ申告をしていたとはいえず、また、上記については、証券会社に有価証券取引用の口座を開設し、インターネットを経由して当該証券会社を通じて当該取引をした場合には、当該取引のデータは、一定期間、インターネットを経由して当該証券会社から入手することができるのであるから、請求人が、eワラント取引に係る証拠書類を保存せず散逸するに任せていたと評価するのは相当でない。したがって、原処分庁が主張する請求人の行為は、いずれも上記にいう特段の行動と評価することはできない。
《参考判決・裁決》 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)
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