納税者と関与税理士との間において、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし又は仮装することについての意思の連絡があったものと認められるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例
裁決事例(国税不服審判所)
2005/09/28 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 請求人は、航空貨物運送に関する清算業務等に係る経費を繰上計上したこと及び割戻料収入の計上を繰り延べたことに関して、証ひょう書類を改ざんした事実など、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の事実はなく、法人税の重加算税賦課決定処分は違法である旨主張する。
ところで、国税通則法第68条第1項の「事実を隠ぺいする」とは、納税者がその意思に基づいて、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠匿しあるいは脱漏することをいい、「事実を仮装する」とは、納税者がその意思に基づいて、所得、財産あるいは取引上の名義に関し、あたかも、それが真実であるかのように装うなど、事実をわい曲することをいうと解され、また、納税者が納税申告を第三者に委任し当該第三者が隠ぺい・仮装行為に基づく申告をした場合において、納税者と当該第三者との間において、その国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装することについての意思の連絡があったものと認められれば、納税者に対する重加算税の賦課要件を充足するものというべきである。
そうすると、請求人の代表者は、関与税理士に平成15年3月期(以下「本件事業年度」という。)の所得金額の操作を依頼し、関与税理士は、この依頼に基づき、平成16年3月期の当該費用をあたかも本件事業年度の経費であるかのごとく、事実を仮装した上で繰上計上し、また、割引料収入が本件事業年度の収益となるべき事実を隠ぺいした上で、当該割引料収入を平成16年3月期の収益に繰り延べたものであり、請求人と関与税理士との間において、当該経費及び割引料収入に係る事実を隠ぺい又は仮装することについての意思の連絡があったものと認められる。
したがって、請求人が、関与税理士を介して、当該経費を繰上計上したこと及び当該割引料収入の計上を繰り延べた上で、本件事業年度の法人税の確定申告書を提出したことは、国税通則法第68条第1項の規定に該当することとなり、請求人の主張には理由がない。
平成17年9月28日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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