年の中途で死亡した被相続人の所得税の確定申告書を、相続人がその法定申告期限までに提出しなかったことについて、国税通則法第66条第1項に規定する「正当な理由」があるとは認められないとした事例
[租税特別措置法][登録免許税法の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2003/12/09 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 請求人らは、所得税法第125条の規定により所得税の確定申告書を提出すべき被相続人が年の中途で死亡した場合の申告期限が相続開始を知った日の翌日から4か月以内であることを知らなかったことは税務官庁の広報不足によるものであることから、無申告加算税を賦課しない場合の「正当な理由」に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人らの主張は、税法の不知を理由とするものであるから、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」があると認められる場合には該当せず、また、申告は、本来、納税義務のある者が自らの判断と責任においてなすべきものであるから、無申告加算税を賦課しない場合の正当な理由があると認められるか否かが税務官庁の広報活動の有無により左右されるものではない。
そして、本件申告書が法定申告期限後に提出されるに至ったのは、相続人の一人が法定申告期限を誤解していたことによるものと推認されるから、「正当な理由」があると認められないことは明らかである。しかも、原処分庁には、確定申告の期限が掲載された各種の広報資料なども常備されており、請求人らにおいて申告等に疑問な点があれば,最寄りの税務官庁に問い合わせることもできたものである。
以上のことからすると、請求人らの主張する当該事情は、「正当な理由」があると認められる場合に該当しない。
平成15年12月9日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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