法人税の申告期限延長の特例適用を受けていることをもって、消費税の期限後申告について、正当な理由があるとはいえないとした事例
[租税特別措置法][登録免許税法の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1994/05/24 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 請求人は、法人税について法人税法第75条の2の申告書提出期限の延長の特例を受けており、消費税についても消費税法第45条による提出期限までに決算が確定しないから、[1]この状況で確定申告書を提出すると、決算確定後、修正申告又は更正の請求等事務負担が増加することになり、また、[2]法定申告期限内に納付税額を納付しているから、期限内申告できないことについて無申告加算税を賦課しないこととする正当な理由が存すると主張する。
しかし、消費税の納税義務は、課税資産の譲渡等の時に成立しており、継続して事業を行っている事業者は、その課税期間を通じて各日ごとに取引があり、その取引ごとに消費税相当額を受領し、消費税を転嫁しているのであるから、確定した決算に基づくことは、消費税の確定申告書を提出する上での要件となるものではなく、消費税法にも提出期限の延長を認める旨の規定は設けられていない。また、法人税の申告期限の延長の適用の有無が消費税の確定申告期限に影響を及ぼすものではない。
したがって、決算が確定していないことは、真にやむを得ない理由に該当せず、国税通則法第66条“無申告加算税”に規定する期限内申告書の提出がなかったことについて、正当な理由があると認められる場合には該当しない。
また、請求人主張の[1]、[2]の理由は、いずれも、真にやむを得ない理由に該当しない。
平成6年5月24日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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