ゆうメールによる納税申告書の提出に国税通則法第22条の適用はないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2013/07/26 [租税特別措置法][登録免許税法の特例]《要旨》 請求人は、ゆうメールにより提出した所得税の確定申告書(本件確定申告書)について、国税通則法第22条《郵送等に係る納税申告書等の提出時期》の規定が適用される旨主張する。
しかしながら、租税法が私法上の概念を特段の定義なく用いている場合には、私法上の概念と同じ意義に解することが、租税法律主義や法的安定性の確保に資するところ、国税通則法第22条は、「郵便」及び「郵便物」と規定し、同法上にその定義規定を置いておらず、郵便法上の「郵便」及び「郵便物」と別意に解すべきことが国税通則法の明文又はその趣旨から明らかであるなどの事情も認められない。かえって、国税通則法第22条は、郵便及び信書便が郵便法又は信書便法の規定に従って配達されるため紛失する可能性が低いことなどの事情を考慮し、また、納税者と関係税務官庁との地理的間隔の差異に基づく不公平を是正する必要性も勘案して、特に郵便又は信書便により提出された納税申告書等については、民法上の到達主義の原則を緩和するものであることなどに照らせば、国税通則法第22条の「郵便」及び「郵便物」は、郵便法上の「郵便」及び「郵便物」と同じ意義に解するのが相当である。そして、郵便法第68条《郵便約款》に基づき定められた内国郵便約款及びゆうメールについて定めるポスパケット約款によれば、ゆうメールによる役務の提供は、荷物の運送であって、郵便法上の「郵便」には該当しない。したがって、ゆうメールによる本件確定申告書の提出について、国税通則法第22条の規定は適用されない。
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