請求人が業務及び管理の委託契約をした関連同族会社の取締役の隠ぺい行為は請求人の隠ぺい行為と同視することができるとした事例

[国税通則法][附帯税][重加算税][隠ぺい、仮装の認定]に関する裁決事例(国税不服審判所)。

裁決事例(国税不服審判所)

2010/01/07 [国税通則法][附帯税][重加算税][隠ぺい、仮装の認定]

裁決事例集 No.79

 請求人は、請求人が業務及び管理を委託したD社の取締役であるEが行った車両売却による横領行為をその事実を了知していない請求人の行為と同視することはできない旨主張する。
 しかしながら、Eは、請求人の代表取締役であるXと遠縁に当たり、D社の株主の中においては、Xに準ずる株式数を有し、D社の取締役として新車購入の見積りや車両売却処理などを含め車両に関する業務に従事していたことからすると、D社と密接な関係にあり、業務の運営上、D社において重要な地位・権限を有し、重要な役割を果たしていたものと認められる。
 また、請求人は、その業務の大部分をD社に委託し、それにより経済活動を行っていたと認められるところ、Xは、売却される車両の車種や売却額などの内容を把握せずにEに処理を任せていた。
 また、当該車両売却処理のほかには原始資料なしに起票するような経理処理は一切行われていない中で、D社の経理担当者らの間で同経理処理について疑問や注意が提起され、話題に上がっていたのであるから、D社の代表取締役であり請求人の代表取締役でもあるXにおいて、直接、Eや売却の相手方に具体的な売却額を聞き、確認を取れば容易に横領行為が発覚するものであり、請求人においてEが隠ぺい仮装行為を行ったことを容易に認識することができ、申告期限までにその是正や過少申告防止の措置を講ずることができたにもかかわらず、かかる横領行為を防止するための措置を講じた事実も認められない。
 以上の各事実に照らし合わせると、Eによる隠ぺい行為は、D社の行為と同視できることはもちろん、業務の大部分をD社が行うことで経済活動を行っていた請求人の行為とも同視できるものと認めるのが相当である。

《参照条文等》国税通則法第68条第1項

国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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