還付金の充当処分につき、充当に係る滞納国税は原処分庁の納税保証に関する手続に瑕疵がなければ不存在になっていたとする請求人の主張を排斥した事例
裁決事例(国税不服審判所)
2000/10/31 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 国税通則法第46条第5項及び国税徴収法第152条には、税務署長等が換価の猶予をする場合には担保を徴さなければならない旨規定されており、国税通則法第50条には、担保の種類として第3号に土地が、第6号に税務署長等が確実と認める保証人の保証が掲げられている。
また、国税通則法施行令第16条第2項は、担保として土地を提供しようとする者は、抵当権を設定するために必要な書類を国税庁長官等に提出しなければならない旨、同条第3項は、保証人の保証を担保として提供しようとする者は、納税保証書を国税庁長官等に提出しなけれならない旨規定している。
これを本件についてみると、次のとおりである。
原処分庁は、請求人から約束手形の提供を受けて換価の猶予をしていたが、その後、さらなる担保として土地の担保の提供において必要とされる抵当権設定登記承諾書等の書類の提出を受けて換価の猶予期間を延長したこと、及び本件訴訟においてこれらの書類の真偽について争われたが真正に作成されたものと認定されたことから、原処分庁のした抵当権の設定に係る手続は適法に行われていると認められる。
また、本件判決において抵当権設定行為が否認されたのは、物上保証人が抵当権を設定するに際して請求人から債務の免除を受けるなどの経済的利益を受けていないことによるものであって、納税保証書を徴さなかったことではないのであるから、原処分庁の手続上の瑕疵によるものとは認められない。
なお、納税保証書は担保提供者たる請求人の意思により提出するものであると解されるところ、既に担保の提供を受けている原処分庁が徴さなければならない理由も認められず、物上保証人による滞納者の租税債務の負担を証する合意書を徴さなければならないとする法令上の規定もない。
平成12年10月31日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 還付金の充当処分につき、充当に係る滞納国税は原処分庁の納税保証に関する手続に瑕疵がなければ不存在になっていたとする請求人の主張を排斥した事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(租税特別措置法>登録免許税法の特例)
- 清算結了登記後においても租税債務等が存在する請求人に対し、その清算結了登記後にされた課税処分は、無効であるとは認められないとした事例
- 売却決定日時及び買受代金の納付期限を変更する旨の公売公告処分に違法な点はないとした事例
- 相続税の確定申告書において、租税特別措置法第69条の3の適用を受けるために、いったん宅地を適法に選択した以上、後日、他の宅地への選択替えを求めて更正の請求をすることはできないとした事例
- 不動産の差押処分が無益な差押えに当たるとした事例
- 新株発行による増資は差押処分の処分禁止効には抵触しないとして、増資後の株式総数を基に第二次納税義務の限度額を算定するとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・一部取消し・平成25年12月9日裁決)
- 納税者と関与税理士との間において、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし又は仮装することについての意思の連絡があったものと認められるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例
- 原処分時において資料の提出がないため納付困難であるか否かの判断ができなかったとしても、審判所の調査によって納付困難な税額が算定され、国税通則法施行令第15条第2項第3号に規定する場合でないことは明らかであるから、納税の猶予申請書の納付計画欄の記載は納税の猶予申請手続の必須条件とはいえないとした事例
- 請求人について、「著しい損失」は認められないものの、売上金額は著しく減少し、赤字の状態に陥っているから、国税通則法第46条第2項第4号に掲げる事実に類する事実があるとした事例
- 未払金に計上した退職金は架空であるとして重加算税の賦課決定を相当であるとした事例
- 国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」に該当しないとした事例
- 差押債権の第三債務者には債権差押えの取消しを求める法律上の利益がないとした事例
- 強制競売手続が開始された場合の繰上請求処分は適法であるとした事例
- 登録免許税及び不動産取得税を固定資産の取得価額に算入した会計処理の選択の誤りを理由とする更正の請求は認められないとした事例
- 滞納者が行った集合住宅の売却について、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等に該当するとした事例
- 異議申立て時には存在していなかった処分が、異議決定までになされた場合には、その時点で異議申立ての対象とされた「処分」が存在するに至ったのであるから、それ以降、当該異議申立ては適法なものとなり、異議申立て固有の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当であるとした事例(売却決定処分、公売公告・棄却、却下・平成27年12月1日裁決)
- 譲渡制限の存する信用組合の組合員の持分に対する差押えを適法とした事例
- 隠ぺい、仮装行為を認定し、重加算税を賦課したことが適法と判断した事例
- 1. 請求人が架空の必要経費を計上し、多額の所得金額を脱漏したばかりか、調査担当職員に帳簿書類の保存がない等の虚偽の答弁をしたことは、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に当たるとされた事例2. 更正処分により賦課される事業税の額を見込額で必要経費に算入すべきとの請求人の主張が排斥された事例3. 請求人が会計データを保存していたフロッピーディスクに不具合が生じ、出力不可能となったこと等を理由に帳簿書類等を提示しなかったことは、青色申告承認取消事由に当たるとされた事例
- 遺産分割協議により自己の相続分を超える不動産の持分を取得したことが国税徴収法第39条の第二次納税義務の規定に該当するとした事例
- 第二次納税義務の納付告知処分の「受けた利益の限度」の額は、譲り受けた財産等の価額から無償譲渡等の処分と直接対価性のある支出又は負担を控除した残額であることを明らかにした事例(第二次納税義務の納付告知処分・棄却・平成26年9月9日裁決)
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。