清算結了登記後においても租税債務等が存在する請求人に対し、その清算結了登記後にされた課税処分は、無効であるとは認められないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2010/12/16 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 請求人は、清算結了登記が行われ法人格が消滅した後にされた税務調査及び更正処分等は、責任を持って対応できる者がおらず調査自体に問題があり、更正処分等は無効である旨主張する。
しかしながら、会社法第476条《清算株式会社の能力》の規定により、清算をする株式会社(清算株式会社)に、課されるべき国税又は納付すべき国税債務などの租税債務が存在する場合は、清算事務は未だ終了しておらず、清算株式会社は清算の目的の範囲内においてなお存続し、その法人格は消滅しないというべきである。そして、請求人には、清算結了登記後においても、課されるべき国税又は納付すべき国税債務などの租税債務等が存在するので、清算の目的の範囲内において請求人はなお存続し、法人格は消滅していないと認めるのが相当である。また、清算事務が終了していない以上清算人の職務も完了していないと認められること、清算人には清算結了登記の時から10年間は清算株式会社の帳簿・書類を保存する義務があること及び清算人は代表清算人として登記されていることから請求人の清算人は請求人の税務調査について責任を持って対応できる者であると認められる。
したがって、更正処分時において請求人の法人格は消滅していたとは認められず、また、原処分庁は、請求人の清算人に対して質問検査権を行使して調査を行った上で本件更正処分等を行っていることから、本件更正処分等は無効であるとは認められない。
《参照条文等》 国税通則法第16条、第24条 会社法第475条、第476条、第481条、第508条
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 清算結了登記後においても租税債務等が存在する請求人に対し、その清算結了登記後にされた課税処分は、無効であるとは認められないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(租税特別措置法>登録免許税法の特例)
- バブル崩壊による担保不足を請求人の責任として差押処分等をすることは不合理である等の請求人の主張が排斥された事例
- 請求人は国税通則法第25条に規定する納税申告書を提出する義務があると認められる者には該当せず原処分庁は同条を根拠とする決定処分を行うことはできないとした事例
- 相続税の期限内申告書の提出がなされなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」がないとした事例
- 調査手続の違法は修正申告の効果に影響を及ぼさないと判断した事例(平成20年分、平成21年分及び平成24年分の所得税に係る重加算税並びに平成19年分の所得税に係る過少申告加算税並びに平21.1.1〜平21.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成18年分〜平成21年分、平成23年分及び平成24年分の所得税の各修正申告並びに平18.1.1〜平18.12.31及び平21.1.1〜平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各期限後申告・棄却、却下・平成27年3月26日裁決)
- 法定申告期限から3年を経過した日以後になされた過少申告加算税の賦課決定は正当であるとした事例
- 公売手続の取消しを求める本件審査請求は、国税徴収法第171条第1項第3号に規定する不服申立期間を徒過しているが、公売通知書に不服申立期間の教示を欠いたため瑕疵があり救済されるべきであるとの主張が排斥された事例
- 請求人による修正申告書の提出は、自発的な決意を有していたことが客観的に明らかであるから、更正があるべきことを予知してなされたものではないとした事例
- 還付申告書に係る更正の請求ができる期間は、法定申告期限から1年以内であるとした事例
- 共同して提出する申告書に署名した者又は記名された者に押印がない場合においては、その申告書がその提出時点において、署名した者又は記名された者の申告の意思に基づいて提出されたものと認められるか否かによって、押印のない者の申告の効力を判断すべきであるとした事例
- 遺産分割協議の無効確認を求めて訴訟中であることを理由に、当該遺産分割に基づく相続税の滞納のためにした請求人の固有財産に対する差押処分の取消しを求めることはできないとした事例
- 法人税法上役員賞与としたものを無償譲渡と認めて第二次納税義務を課しても矛盾がないとした事例
- 課税処分の違法を理由として差押処分の取消しを求めることはできず、本件差押処分は超過差押えとはならないとした事例
- 国税徴収法第38条の第二次納税義務の告知処分に至る手続に違法があり、また、納付相談の要請を了解したにもかかわらず、この了解事項を一方的に破棄して告知処分を行ったことは、信義則に反するとの請求人の主張が排斥された事例
- 国税通則法第38条第1項各号に掲げる繰上請求事由があるときは、納税の猶予申請に係る国税がその猶予期間内に完納されることが確実であるとか、当該国税の徴収確保の上で全く支障がないなどの特段の事情がない限り、納税の猶予は認められないとした事例
- 本件修正申告書は、原処分庁があらかじめ用意した修正申告書に押印を強要され、わずか30分程度の間に提出したもので、任意の意思に基づくものではない旨の請求人の主張を排斥した事例
- 源泉所得税等還付金を相続税延納分の未納利子税額に充当した後に、所得税の修正申告により納付すべき税額が生じても、当該納付すべき税額が納期限までに納付されなかったことにより行った本件督促が違法となるものではないとした事例
- 居住の用に供していない土地建物の所在地に住民登録を移し、その住民票の写しを確定申告書に添付する等により居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けようとしたことは、事実の隠ぺい又は仮装に該当するとした事例
- 課税仕入れに係る支払対価の額に翌課税期間に納品されたパンフレット等の制作費を含めたことについて、隠ぺい仮装の行為はないとした事例
- 譲渡担保財産が将来債権である場合、当該債権が譲渡担保財産となった時期は、債権が具体的に発生した時であるとした事例
- 登録免許税及び不動産取得税を固定資産の取得価額に算入した会計処理の選択の誤りを理由とする更正の請求は認められないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。